日本ファジィ学会誌
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作業者の感情評価へのFuzzy評価法の導入
寺下 裕美大須賀 美恵子下野 太海戸田 真美子
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1998 年 10 巻 2 号 p. 366-374

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抄録

オペレータなど作業者のストレスの定量的・客観的評価手法を確立するためには、生理量・主観量・行動量や環境パラメータに関するデータを効率よく収集し、多面的に評価することが望ましい。そこで、主観量データの収集に関して、低負担で安定して主観評定を行える方法として、評定に伴う曖昧さを考慮したファジィ評定法の導入を試みた。比較したのは、系列範疇法, ファジィ範疇法, グラフ尺度法, ファジィ範疇法である。まず、被験者20名を対象に、質問紙を用いた評定実験1を行い、主観評定のしやすさについて検討したところ、ストレス課題負荷時の感情評定ではカテゴリーによる回答が好まれるが、適した評定法は刺激特性や個人によって異なるという結果であった。次に、生理反応をトリガーとして、主観量等のデータを収集するシステムを開発し、5種類の評定法を搭載した。これを用い、評定実験1の被験者中12名を対象に、パソコンによる評定実験2を実施して再度検討したところ、評定実験1と同様、適した手法は個人で異なるという結果であった。さらに、作業場面での評定を考慮し、ファジィ範疇法の音声入力による評定実験3を被験者12名に試み、その有用性を確認した。これらから、作業中の主観評定において、ファジィ評定法は有用であるが、適した方法は評定対象と個人の特性に応じて用いることが望ましいと考える。

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© 1998 日本知能情報ファジィ学会
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