日本ファジィ学会誌
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2目的ファジィ割当問題
多田 実石井 博昭
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1998 年 10 巻 5 号 p. 867-875

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抄録

通常の割当問題とは, 労働者iに仕事jを与えればe_<ij>の効用(efficient)があるとき, 効用の合成を最大にするには, 労働者に仕事をどのように割り当てればよいかを求める問題のことである.しかしながら, 現実的には, 各仕事に対する各労働者の効用値を厳密に定めることが困難な状況が少なくない.そこで, 本稿では, 割当問題をファジィ環境において取り扱う, いわゆる「ファジィ意思決定問題」として定式化し, その解法を与える.すなわち, 各仕事の重要度をメンバシップ関数によって特徴づけ, 厳密な1つの値として決められない効用値をファジィ数として表した後, これらの間で一致指標と呼ばれる計算によって, 通常の(ファジィではない)割当問題に帰着して解けることを示す.さらには, この考え方を発展させ, 労働者側が予め提示する, 各仕事に対する満足度(やりがい)を示す式を目的関数の1つとして追加し, (1)効用の合計値の最大化, (2)満足度の狭小値の最大化という2目的問題として定式化することによって, 意思決定者の視点だけ決める(効率性のみを追求する)のではない, ある意味で「柔軟な」割り当て方が求められることを示す.そして, この問題を解くために, 非劣解の概念を考慮した対話型システムのアルゴリズムを提案する.

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© 1998 日本知能情報ファジィ学会
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