抄録
SIRMs動的重視度結合型ファジィ推論モデルは、通常のSIRMsファジィ推論モデルに比べて1次遅れ系などの制御性能を大幅に改善できるが、動的重視度を設定する系統的な方法が確立されていない。本論文では、制御対象を1次遅れ系に限定して、偏差と偏差の1階差分を入力項目として操作量の変化分を出力項目とするファジィ制御器を構築する。このファジィ制御器が項目ごとには従来の線形PI制御則に完全に対応し、全体では非線形PI制御則であることを証明する。時定数が0.20から30.00までのプラントに対して、ランダム最適探索法で収集したデータに基づき、各入力項目の動的重視度のパラメータである基本値と変動幅の設定式を導出する。本設定式を用いることによって、振動と定常誤差が生じずに、オーバーシュートとアンダーシュートがともに1.0%程度に抑えられ、しかも制御量が目標値に速やかに到達できることを示す。