日本ファジィ学会誌
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不確実な証拠による因果逆推論についての一考察
山田 耕一
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1999 年 11 巻 1 号 p. 159-168

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抄録
不確実な因果関係知識と不確実な証拠(結果)が与えられたときに, その原因を推論する因果逆推論について考察し, 確率表現と可能性表現による2つの新たな推論方法を提案する.不確実な証拠に対する因果逆推論が可能な推論法は従来にもいくつかあり, 確率を用いるものとしてはJeffreyの規則による方法, 主観的Bayes法を利用する近似計算, ベイジアンネットワークによる推論などがある, また, 可能性理論を用いる場合はファジィ関係式の逆演算による方法, およびJeffreyの規則の考え方を可能性理論に適用した方法がある.しかし, これらの推論で用いられる条件付確率あるいは条件付可能性は, 人間が認識する因果の不確実性表現としては適切でないことが指摘され, 条件付因果確率と条件付因果可能性の使用が提案されている.本論文では, 不確実な証拠に対する因果逆推論に関し, 従来の条件付確率および条件付可能性を用いる方法について考察した後, 条件付因果確率と条件付因果可能性を用いる新たな2つの推論方法を提案する.これら2つの方法は, 確率と可能性という異なる不確実性評価尺度を用いるが, 基本的な考え方は同一である.また, 提案手法を用いて因果逆問題に応用する際に, 確率データ, 可能性データをどのように与えるかについても考察する.
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© 1999 日本知能情報ファジィ学会
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