2000 年 12 巻 6 号 p. 826-834
現実世界の多くの実データに主成分分析を適用する際に, 支配的であるが自明な主成分よりも, 潜在的な主成分のほうが重要な場合がある.主成分分析の対象となるデータの分散共分散行列を, 回帰分析を利用して外的基準の影響を受ける部分とそれ以外の部分とに分解することで, 外的基準に独立な主成分を抽出する方法が提案されている.この方法では, データの支配的な要因を外的基準とすることにより, 潜在的な主成分を抽出することが出来る.しかし, 主成分分析の対象となるデータに対する外的基準の影響に非線形性がある場合や, 特性の異なるデータが混在している場合には, すべてのデータを同一の線形関数で回帰することは好ましくない.したがって, データを分割しながら回帰分析を行うことにより, 局所的に線形構造をモデル化して外的基準の影響を取り除く必要がある.本研究では, 回帰とクラスターの同時分析法であるFuzzy c-Regression Models法を利用することによる, ファジィクラスタリングを考慮した外的基準から独立な局所的主成分の抽出法を提案する.