日本ファジィ学会誌
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ファジィデータに対するL_1距離を用いたファジィクラスタリング
高田 治宮本 定明
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2001 年 13 巻 6 号 p. 689-698

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抄録
三角ファジィ数の直積で表されるファジィデータを, L_1距離に基づくファジィc-平均法でクラスタリングする手法を提案する.アルゴリズムを簡単にする観点からL_1距離を扱うことにする.集合間の距離の中では両極端である最長距離法と最短距離法を用いて目的関数を定義し, 最適化を行う.ファジィc-平均法は, クラスター中心とメンバシップの二つの変数を含む目的関数に対し, 交互最適化を行うことによりクラスタリングを行う手法である.ファジィ数の直積で表現されるファジィデータに対する目的関数をファジィc-平均法で交互最適化する際に, メンバシップに関する最適解は既存のファジィc-平均法同様に求められるが, クラスター中心に関する最適解は同様に求めることができない.そこで新たにクラスター中心に関する最適化を求めるアルゴリズムを開発する.このアルゴリズムは目的関数のクラスター中心に関する区分線形な偏導関数を探索するアルゴリズムで, 既存のファジィc-平均法と同じ計算量で解を求めることができる.このアルゴリズムを用いることにより, ファジィデータに対するL_1距離に基づくファジィc-平均法において, 目的関数の厳密な交互最適化を行うことができる.本論文では三角ファジィ数の直積で表されるファジィデータを取り扱う.三角ファジィ数以外の一般的なファジィ数を考えることも可能であるが, 非線形な関数の探索が必要になるのでここでは扱わない.人物の印象に関する不確定性を含むデータが, 三角ファジィ数の直積で表現されると仮定し, 不確定性を含んだまま本手法でクラスタリングした結果と, 同じデータに対して不確定性を含まないと仮定した場合の既存のファジィc-平均法のクラスタリング結果を比較する.
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© 2001 日本知能情報ファジィ学会
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