日本ファジィ学会誌
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多段ファジィ推論を用いた麻酔科医の血圧管理知識の表現と時系列臨床データからのGAによる獲得手法の検討
小倉 久和鵜飼 英俊白井 治彦西野 順二小高 知宏大下 修造
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2002 年 14 巻 2 号 p. 228-239

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抄録
2入力1出力のファジィ推論エンジンをいくつか組み合わせた多段推論機構により,時系列データから推論・予測知識を抽出するシステムを構成し,手術中の時系列臨床データから,麻酔科医が手術中に行う血圧管理知識の抽出を試みた.前件部2入力,後件部1出力のIF-THEN形式で表したファジィルール群は2次元配列の表として表せるが,ファジィ推論エンジンはこれを知識としてファジィ推論する汎用のシステムである.これを階層的に多段に組み合わせることで多入力1出力の多段推論機構を構成した.この推論機構は複数のファジィルール表で表された知識を用いて時系列データの推論・予測をする.このファジィルール表現知識を,遺伝的アルゴリズムを用いて時系列データから適応・学習的に抽出する手法を検討した.簡単な生成規則により生成した時系列データを用いた模擬データによるシミュレーション実験をおこない,システムの有効性を確認した.さらに,実際に手術中に得られた血圧を制御する薬剤投与速度の時系列データを対象に,多段推論機構による血圧管理知識の獲得を試み,その結果を分析した.その結果,本手法は,麻酔科医の血圧管理知識の獲得に有効であることを確認した.しかし,入手データが限られていることなどさまざまな理由により,得られた知識が十分汎用的なものかどうかは評価できなかった.
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© 2002 日本知能情報ファジィ学会
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