抄録
本論文では, ファジィ係数を含む多目的線形分数計画問題に対して, 意思決定者が, 各目的関数に対して, あいまいな目標をもつという仮定のもとでの, 新たな解の概念を提案する.問題に含まれる係数のあいまい性と各目的関数に対する意思決定者の判断のあいまい性の2種類のあいまい性に対処するために、可能性と必然性の概念に基づく2種類の指標を導入し、ファジィ係数を含む目的関数に対する意思決定者の満足度を定義する。この時、もとの問題は、ファジィ係数を含む各目的関数に対する意思決定者の満足度をそれぞれ最大にする、通常の多目的計画問題に帰着される。この多目的計画問題に対して、2種類のあいまい性を考慮した新たな解の概念として、I-α-パレート最適解を導入し、I-α-パレート最適解の集合の中から意思決定者の満足解を導出するための、線形計画法に基づく対話型意思決定手法を提案する。
