抄録
広島カキのエラの呼吸活性(コハク酸デヒドロゲナーゼ活性、SDH)、カキ体液の pH およびアンモニア濃度の三つの生化学的指標とファジィ推論法を用いて、鮮度の迅速かつ客観的な判定を試みた。SDH およびpH は生カキを保存中にすみやかに低下し、一方、アンモニア濃度は逆に上昇する傾向を認め、これらは鮮度低下と相関することが明かとなった。これらの指標をファジィ推論を適用して処理し、鮮度を 0-100 点満点で表示するシステムを作成した。得られた点数は熟練者の官能検査の結果とよく一致し(相関係数 r=0.936)、本手法が鮮度の客観的かつ迅速(15分間)な判定に適用しうることを認めた。また、従来我々が報告している相乗平均を用いる判定手法と比較しても、ファジィ推論を用いる方がより熟練者の経験則に近い判定が得られることを明かにした。