抄録
順序構造モデルによるファジィ推論は、各入力ごとに推論規則を記述し、推論規則間の順序関係を規定することで推論結果の調整を行う手法であり、人間の経験的推論規則との対応がとりやすいという特徴を持つ。この推論により生産現場における作業着手手順決定問題を解くには、各製品の完成予定日、部品欠品数、所要作業時間等の種々の要因に関する推論規則に対して生産管理のベテランが持つ重視度を獲得しなければならない。しかし、生産管理者がこれらの重視度を明確に意識しているとは限らないため、重視度の抽出は手数の要る作業となっている。本論文では、作業着手手順決定問題において、生産管理者の持つ上記重視度を獲得すべき知識と見なし、新たに PRIMITIVE 曲線を提案し、この曲線をもとに重視度の修正案をファジィ推論により求める知識獲得支援システムを提案する。本手法の有効性を確認するため、生産現場の具体例をもとに、仮想的に重視度獲得の実験を行う。