抄録
義務教育機関, 高等学校, 高等専門学校, 及び大学教養課程において, フィジカルテストが, 毎年実施されている.これらの測定データを測定評価し, 全国レベルと実施校の体格および体力の位置づけ, および実施校における体格や体力の経年変化を考察する研究がなされている.新しい分析方法として, 坂和らによって統計的な回帰分析にファジィ理論の概念を取り入れたファジィ回帰分析がモデル化されている.しかし, これらのファジィ回帰分析を用いた事例研究は, ほとんど報告されておらず, 坂和らが定式化したファジィ入出力データに基づくファジィ回帰分析を用いた事例研究は, まったくなされていないのが現状である.本論文では, 統計的な回帰分析とこれらのファジィ回帰分析に注目し, フィジカルテスト測定評価支援への適用研究を行い, 統計的な回帰分析とこれらのファジィ回帰分析との使い分けを明確にする.まず, 身体データどうしの分析を試みる場合, 健体者を対象としているので身体データの特質より, すべてのデータは存在すると解釈し, ファジィ回帰分析によりデータの傾向を把握できる.つぎに, 身体データとスポーツテストデータとの分析を試みる場合やスポーツテストデータどうしの分析を試みる場合, 統計的な回帰分析によりバランス的に異常と判断された者を検出し, 個別にトレーニング等の指導を行える.さらに, スポーツテストデータを評価点にファジィ化することにより, ファジィ入出力データのファジィ回帰分析を使用でき, 全体の傾向と評価基準の妥当性を把握できる.