抄録
制御システムの高度化を目指して、人間の制御知識の獲得に関する研究が盛んになされている。本論文では、大きな動的遅れを有する大型船舶を制御対象とし、自船に向かって来る相手船を回避する操船問題を扱う。この問題では、オペレータの直感に合った回避ルールの獲得が困難であった。 本論文では、ファジィ推論ルールの自動獲得とメンバーシップ関数の自動調整の可能なファジィニューラルネットワーク (FNN) を用いて、オペレータが観測していると思われるデータから、オペレータの持つ回避戦略ルールが明確に抽出できることを示す。さらに本手法が、従来手法の危険度を推論するファジィルールと、危険度に基づくディシジョンテーブルのうち、相手船の後に回り込むルールを自動獲得していることを示す。