抄録
この論文は、小型乗用車の乗り心地の改善と振動の抑制の見地からサスペンションに対するアクティブおよびセミアクティブ制御をファジィ推論によって設計するものである。対象とする車は4自由度でモデル化されるが、サスペンション用のばねの復元力およびショックアブソーバの減衰力はそれぞれサスペンション変位および速度の非線形関数となっている。前輪部および後輪部のサスペンション変位はサンプリング時点で測定され、この測定値と微分値はif-then形のファジィ制御ルールの前件部変数として扱われる。後件部変数としては, アクティブ制御ではサスペンション位置に挿入される制御力、またセミアクティブ制御ではショックアブソーバの可変の減衰力とする。アクティブおよびセミアクティブ制御は、車体の加速度と車体の変位ができるだけ小さくなるように制御則を決定する。すなわち、制御則のチューニングにおいては、まずファジィ制御ルールを与え、次にメンバーシップ関数のスケールファクタを変動させる。非ファジィ化の方法としては、2種類の代数積-max重心法と2種類の代数積-加算重心法を考察する。シュミレーション結果は、ここで提案するアクティブおよびセミアクティブ制御がパッシブ制御に比べてサスペンション性能においてより優れていることを示している。