抄録
教授・学習過程は, 計画, 実施, 評価の3つに分割して表わされることがある。このうち, 評価の段階では, 学習者の教育目標の達成度に対する評価や教師の授業計画および実施に対する評価を行う.この段階においては, 主としてテスト項目に対する学習者の反応パターンからテスト項目の達成順序を解析する手法が必要とされる.筆者らはテスト項目の得点が区間地[0,1]であり, 学習者集合の部分集合ごとに分析する手法であるFIRS(Fuzzy IRS)分析法を提案してきた.本論文ではFIRS分析法の概略を述べ, さらにFIRS分析法の手続き2の部分に関して考察したものである.FIRS分析法の手続き2とは, 学習者のテスト項目集合上の達成順序関係行列を算出する手続きであり, ここでの結果が以後の分析に重大な影響を及ぼす.そこで, 達成順序関係を算出するために用いる代表的なメンバーシップ関数の選択が達成順序関係の判定にどのように影響するかについて検討を加える.