日本ファジィ学会誌
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フラクタルブロック符号化における画像圧縮の高速化
源野 広和松本 和夫鈴木 龍司
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1995 年 7 巻 4 号 p. 862-870

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抄録
フラクタルブロック符号化は、等分割したブロックごとに、同一画像内で相似画像を探索して符号語を作成する手法である。この手法は、高周波成分の多いカオス的な画像についても、高精度で圧縮復元ができる。しかし、相似画像を探索する時間がかかりすぎるため、いまだ実用レベルとは言いがたい。そこで本報告では、フラクタルブロック符号化における画像圧縮を高速化する手法を提案する。復元した画像に知覚できる画像劣化を生じないように、人間の視知覚特性を考慮してアルゴリズムの開発を行った。まず、網膜上の視覚特性を近似する▽^2Gフィルタを用いてエッジ部を検出する。次に、検出したエッジ情報に基づき、4分木手法を用いて可変サイズのブロック分割を行う。ただし、視知覚的に重要度の高いエッジ部は、最小単位でブロック分割する。次に、ブロックの属性を考慮して、選択的に自己相似画像を探索する。また、平坦部の探索には閾値を設定し、誤差を許容した探索を行う。本報告で提案した手法により、従来のフラクタルブロック符号化方式と比べて、画像圧縮速度を約2.75倍に高速化でき、圧縮率を約1/1.29倍に改善できた。また、SNRは約0.7dB下がったものの、画像劣化は視覚的に検出できなかった。
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© 1995 日本知能情報ファジィ学会
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