抄録
本研究では遺伝的アルゴリズム(GA)による言語的識別ルールの選択の手法を提案する.提案手法により, パターン空間に生成される多数の言語的識別ルールから, 少数の理解しやすいルールが選択される.このようなルール選択は, 高性能な識別システムを構成するため, 次の二つの目的を満たすように行われる.(1) できるだけ多くの学習用パターンが正しく識別されること, (2)識別システムを構成する言語的識別ルールの数ができるだけ少ないこと.本研究ではこれら二つの目的を扱うための2目的GAを提案する.提案手法は, 2目的組合せ最適問題として定式化されたルール選択問題のパレート最適解集合を得ることを目的としたものである.本研究では, 効率的にパレート最適解を得るための選択操作およびエリート保存戦略を提案し, 2目的GAを構成する.さらに, 各個体に対して学習を行う学習型2目的GAを提案する.最後にアヤメの識別問題に対する数値実験により提案手法の有効性を示す.