抄録
本研究では質問紙を用いた主観的寒冷耐性と,寒冷環境における体温調節応答や形態的特性,生活習慣と
の関係を調査することを目的とした.健康な青年男性 20 名を対象として 3 つの実験を行った.(1)質問紙調査.
(2)急性寒冷曝露実験.(3)FDG-PET/CT を用いた褐色脂肪(BAT)活性評価.質問紙を用いたクラスター分析
の結果,被験者は主観的寒冷耐性の高い High 群,低い Low 群の 2 群に分類された.骨格筋量において,High 群
が Low 群に比べ有意に高値を示した(p<0.05).しかし,BAT 活性の 2 群間における差は認められなかった.High
群は安静時の産熱量が高く,寒冷曝露時の深部体温が高く保たれる傾向が見られた.High 群が高い骨格筋量を有
することが原因だと考えられる.Low 群においては質問紙において行動性体温調節を行う頻度が高く,寒冷曝露
時の皮膚温,深部体温が下がりやすい傾向が見られた.体温の低下を抑えるために積極的に行動性体温調節を行
うことが考えられる.