人間‐生活環境系シンポジウム報告集
Online ISSN : 2434-8007
第43回人間-生活環境系シンポジウム報告集
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低湿度環境下における高齢者の生理量と心理反応の基礎的検討
*開原 典子林 基哉
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p. 203-206

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抄録

本研究では、高齢者の低湿度環境による健康リスク低減の観点から、乾燥による不快感や疾患の生じにく い室内湿度環境の形成に資するエビデンス構築を目的としている。本報では、乾燥感発生の湿度条件とその生理 量を明らかにするために、一定の低湿度環境下において高齢者を主とした被験者を対象として、生理要因(皮膚 含水率, 皮膚表面温度)の測定と心理要因(湿度に関する快適感, 温冷感等)の申告を行った。湿度に関する快 適感申告の結果から、高齢者以外の被験者が空気の乾燥を不快と感じる場合でも、同様の状況を高齢者は快適と 捉える可能性のあることが示唆された。また、皮膚含水率と湿度に関する快適感申告の結果、高齢者は不快と申 告していないにも関わらず、低い皮膚含水率となっている場合があることが示された。老化に伴い、空気の乾燥 により皮膚や粘膜の状態が変化し、人体表面の水分含有量が低下していることに気づきにくく、違和を感じるこ とが遅くなっている可能性がある。

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© 2019 人間‐生活環境系学会
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