前報より、4q25 (D4S2623) において、高頻度のLOHが認められ、この領域にCaspase-6遺伝子が存在していることが確認された。Caspase-6遺伝子はアポトーシスに関連する遺伝子であり、癌抑制遺伝子として機能する可能性が十分に考えられる。
そこで我々は、Caspase-6 mRNA 発現量を正常組織、腫瘍組織で比較し、解析した。40%の症例で、腫瘍組織におけるCaspase-6 mRNA 発現量の低下が認められた。同様に 30%の症例で変化が見られなかった。
同時に、Caspase-6遺伝子における変異の解析を行った。Caspase-6 cDNA 塩基配列解析の結果、いかなる変異も認められなかった。
.以上より、少なくとも一部の口腔扁平上皮癌の癌化のメカニズムにはCaspase-6遺伝子が関与していると考えられ、癌抑制遺伝子候補である可能性が示唆された。