耳鼻咽喉科臨床
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職業性難聽とその豫防法
恩地 豊
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1951 年 44 巻 11 号 p. 411-419

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抄録

1) 職業性難聽は強大なる音響で起る感音性障碍でありその種々なる過程のオーヂオグラムを提示した。
2) 本疾患の聽力損失は騷音環境に於ては進行性であり、その発展には一定の過程が認められる。即ちオーヂオグラムに於て損失は〓づ4000〓を中心とした谷となつて現われる。
3) 本疾患中定型的な製罐工性難聽に就てオーヂオメーター檢査及び耳科臨床的研究を行つた。
4) 本疾患の苦痛とする症状は難聽と耳鳴であるが、これに対する効果ある治療法は発見されていないから現在では予防法に留意しなければならない。
5) 豫防法として騷音に含まれる2000-4000〓の成分音の音壓が特に重要視されねばならない。且つ精神疲勞を特に起させるのもこの成分音である。
6) 從來の騷音計によつて騷音の有害度を測定することは出來ない。故に特に2000-4000〓の成分音の音壓を指示し得る騷音計が必要である。
7) 確実な豫防法として恩地式耳栓の使用を提唱する。本耳栓は難聽豫防に効果があるばかりでなく精神的疲勞を軽減するので作業中の事故防止と作業能率の向上か期待される。
8) 職業性難聽者に対する保障制度が早急に制定されるべきである。

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