耳鼻咽喉科臨床
Online ISSN : 1884-4545
Print ISSN : 0032-6313
ISSN-L : 0032-6313
急性白髪染中毒の1症例
浜崎 洋暢
著者情報
ジャーナル フリー

1955 年 48 巻 12 号 p. 838-839

詳細
抄録

いわゆる白髪染として使用される大部分の薬品は, 主薬としてパラフエニールヂアミンを用い, この主薬が酸化剤により酸化せられて黒色不溶解色素ヒノンを形成する. このものが染毛作用を呈するのであるが, この酸化作用に際しヒノヂミンなる輝発性有毒性の中間産物が生成せられる. この有毒性物質が皮膚, 粘膜等に刺戟作用を呈し, 内服せる場合は劇烈な中毒症状を来すものである. 本剤による中毒特に自殺の目的に用いたものは戦前は可成り報告を見るが戦後においてはあまり見当らない様である. 私は最近自殺の自的をもつて白髪染を服用し, 重篤なる中毒症状を呈し遂に死亡した1例に遭過したのでこゝに報告する.

著者関連情報
© 耳鼻咽喉科臨学会
前の記事 次の記事
feedback
Top