耳鼻咽喉科臨床
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咽喉頭異常感症に対する診断的治療
小池 靖夫文珠 敏郎戸田 雅克太田 文彦
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1979 年 72 巻 11 号 p. 1499-1506

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抄録

1ヵ年間に遭遇した咽喉頭異常感症196例について臨床統計的観察を行った. 外来新患中の頻度は約5%で, 30才台, 40才台に多く, 女子は男子の約2倍であった. 臨床的追求を行ったところ, 高率に器質的異常が認められた. 副鼻腔等の慢既炎症性疾患が多かったが, 甲状腺疾患も多数発見された. minor tranquilizer と消炎酵素剤との併用による診断的治療を行ったところ, 効果判定可能であった54例は, 著効 (25), 有効 (18), 稍有効 (1), 無効 (10), 悪化 (0) に類別された. 精査の結果, 下咽頭癌を含む致命的疾患3例が, 無効群の中から発見された. 診断的治療による器質的疾患のスクリーニングが, 咽喉頭異常感症の取り扱い上極めて重要であることを指摘した.

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