抄録
1) Bell麻痺67例と Hunt 症候群17例において, 帯状庖疹, 単純性庖疹, インフルエンザAおよびB, ムンプス, アデノ, 風疹の各ウィルスにつき, 血中抗体価の変動を観察し, ウィルス感染の有無を判定した.
2) Bell 麻痺のうちウィルス感染を認めた症例 (感染 Bell 群) は14例で, Bell 麻痺全体の20.8%を占めた.
3) 感染を認めたウィルスの種類は, 感染 Bell 群では帯状庖疹の7例が最も多く, 次いで単純性庖疹の3例であった. Hunt 症候群では15例にウィルス感染を認め, その全例が帯状庖疹陽性であった.
4) 臨床症状, 検査所見を3群について比較検討した結果, 感染 Bell 群は Hunt 症候群と非感染 Bell 群との中間の臨床像を示した.