1981 年 74 巻 10special 号 p. 2341-2345
鼻性髄膜炎で激烈な経過をとって死亡した症例の側頭骨病理を示した.
頭蓋内の炎症は主として蝸牛導水管を通って蝸牛基底回転の鼓室階に波及する.
内耳道より神経周囲組織, 血管周囲組織を通って内耳に達する経路も存在する. この場合, 頂回転側より基底回転側の浸潤が強い.
蝸牛導水管, 蝸牛軸, いずれの経路をとっても浸潤は基底回転に強く, 高音障害型の難聴を起してもよい所見である.
急性中耳炎の組織像は正円窓窩のみに限局しており, また, 正円窓膜に内耳側から連続的に多核白血球浸潤がみられるので, 内耳から中耳へ炎症が波及するときも正円窓膜を介して行われることを不している.