耳鼻咽喉科臨床
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通年性鼻アレルギーに対する抗ヒスタミン剤 Mequitazine (LM 209) の臨床効果
フマル酸クレマスチンとの二重盲検群間比較試験
武田 一雄吉田 政雄馬場 駿吉石岡 清治坂倉 康夫鵜飼 幸太郎熊沢 忠躬岩野 正毛利 学島津 薫雲井 健雄小笠原 寛谷口 郷美鈴木 茂身原田 康夫岡崎 英登生駒 尚秋鈴木 健男関谷 透日吉 正明広戸 幾一郎宗 信夫永井 みどり進 武幹江崎 修市森満 保井手 稔大山 勝前山 拓夫藤谷 哲造高原 哲夫高木 博司
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1981 年 74 巻 3 号 p. 381-400

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抄録

通年性鼻アレルギーに対する新抗ヒスタミン剤 mequitazine (LM 209) の有効性, 安全性および有用性をフマル酸クレマスチンを対照薬とした二重盲検群間比較法で検討し, 以下の結果を得た.
1) 医師による有効性, 有用性の判定では両剤間に有意の差を認めなかった.
層別に有効性を比較すると, 罹病期間3年未満の群で, LM群はCF群に比し, 有効率が有意に優っていた. また, 好発期ありの群でもLM群はCF群に比し, 有効率が優る傾向を示した.
同様に, 有用性を比較すると, 罹病期間3年未満の群で, LM群はCF群に比し, 有用率が優る傾向を示した.
2)「患者の印象」では両剤間に差は認められなかったが, 層別に判定を比較すると, 好発期ありの群で, LM群はCF群に比し, 有効率が優る傾向を示した.
3) 副作用の発現がLM群14.0%, CF群21.6%に見られた. 特に中枢作用による「ねむけ」の発現率がLM群 (8.1%) はCF群 (19.3%) に比し, 有意に低かった.
4) 臨床検査所見では, 薬剤投与によると考えられる異常症例が若干見られたが, 投与中止にいたる症例はなかった.
以上の成績から, mequitazine はフマル酸クレマスチンと同等の臨床効果, それ以上の安全性が期待され, 臨床上有用な新抗ヒスタミン剤と考えられる.

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