1981 年 74 巻 3 号 p. 381-400
通年性鼻アレルギーに対する新抗ヒスタミン剤 mequitazine (LM 209) の有効性, 安全性および有用性をフマル酸クレマスチンを対照薬とした二重盲検群間比較法で検討し, 以下の結果を得た.
1) 医師による有効性, 有用性の判定では両剤間に有意の差を認めなかった.
層別に有効性を比較すると, 罹病期間3年未満の群で, LM群はCF群に比し, 有効率が有意に優っていた. また, 好発期ありの群でもLM群はCF群に比し, 有効率が優る傾向を示した.
同様に, 有用性を比較すると, 罹病期間3年未満の群で, LM群はCF群に比し, 有用率が優る傾向を示した.
2)「患者の印象」では両剤間に差は認められなかったが, 層別に判定を比較すると, 好発期ありの群で, LM群はCF群に比し, 有効率が優る傾向を示した.
3) 副作用の発現がLM群14.0%, CF群21.6%に見られた. 特に中枢作用による「ねむけ」の発現率がLM群 (8.1%) はCF群 (19.3%) に比し, 有意に低かった.
4) 臨床検査所見では, 薬剤投与によると考えられる異常症例が若干見られたが, 投与中止にいたる症例はなかった.
以上の成績から, mequitazine はフマル酸クレマスチンと同等の臨床効果, それ以上の安全性が期待され, 臨床上有用な新抗ヒスタミン剤と考えられる.