1981 年 74 巻 5 号 p. 861-872
慢性副鼻腔炎および急性副鼻腔炎に対する保存的治療に際し, 従来の治療法を対照とし, 塩化リゾチーム大量療法 (270mg/日) を加えた場合の有効性について, 多施設共同でコントロール・トライアルを行った.
慢性群の塩化リゾチーム投与群156例と対照群109例を比較し, その有効性を明らかにした. とくに浮腫・茸状型群, 多量鼻漏群において一層有効であり, 6ヵ月の長期観察経過においても有意差を認めることができた.
急性群の塩化リゾチーム投与群144例と対照群94例を比較し, 浮腫・茸状型群とビマン・カタル群, 多量鼻漏群において限られた所見についてのみ有効性を認めることができた.
短期観察にみる有効率は慢性群の塩化リゾチーム投与群で49%, 対照群で22%を, 急性群の塩化リゾチーム投与群で63%, 対照群で49%を示し, 慢性群の長期観察でも塩化リゾチーム群42%, 対照群25%と5%水準の有意差を認めることができた.