耳鼻咽喉科臨床
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慢性および急性副鼻腔炎に対する高単位塩化リゾチームの治療成績
多施設共同研究によるコントロール・トライアル
酒井 俊一村田 雅美伊東 真人佐々木 良二上塚 弘酒井 国男仁村 多美子水津 百合子浅井 英世古川 裕田上 悦子後藤 和彦渡部 泰夫武藤 幹二向井 貞三大川内 一郎松永 喬兵 行和柿内 寿美松永 亨尾崎 正義石田 稔瀬尾 摂稲留 欣一中村 敏治河村 泰男小坂田 誉志夫大島 一郎
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1981 年 74 巻 5 号 p. 861-872

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抄録

慢性副鼻腔炎および急性副鼻腔炎に対する保存的治療に際し, 従来の治療法を対照とし, 塩化リゾチーム大量療法 (270mg/日) を加えた場合の有効性について, 多施設共同でコントロール・トライアルを行った.
慢性群の塩化リゾチーム投与群156例と対照群109例を比較し, その有効性を明らかにした. とくに浮腫・茸状型群, 多量鼻漏群において一層有効であり, 6ヵ月の長期観察経過においても有意差を認めることができた.
急性群の塩化リゾチーム投与群144例と対照群94例を比較し, 浮腫・茸状型群とビマン・カタル群, 多量鼻漏群において限られた所見についてのみ有効性を認めることができた.
短期観察にみる有効率は慢性群の塩化リゾチーム投与群で49%, 対照群で22%を, 急性群の塩化リゾチーム投与群で63%, 対照群で49%を示し, 慢性群の長期観察でも塩化リゾチーム群42%, 対照群25%と5%水準の有意差を認めることができた.

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