耳鼻咽喉科臨床
Online ISSN : 1884-4545
Print ISSN : 0032-6313
ISSN-L : 0032-6313
顔面神経麻痺患者の統計的観察
西村 宏子山本 悦生山内 盛雄岩永 迪孝藤田 佳代子岩崎 博佐藤 宏昭竹内 俊二鶴原 秀晃
著者情報
ジャーナル フリー

1983 年 76 巻 2special 号 p. 328-337

詳細
抄録

昭和52年1月から昭和57年9月までの6年9ヵ月間, 京大病院耳鼻咽喉科を訪れた顔神麻痺患者662名について統計的観察を行い以下の結果が得られた.
(1) 顔神麻痺患者は, 外来新患数の1.8%を占めていた.
(2) 年度別発生件数では, 各年ともベル麻痺が1番多く, 62.0~80.5%を占め, その他の頻度はまちまちであった.
(3) 診断別分類では, ベル麻痺が1番多く, 447例 (67.5%), 以下, ハント症候群59例 (8.9%), 手術損傷性45例 (6.8%), 頭部外傷性45例 (6.8%), 先天性23例 (3.5%), 耳炎性15例 (2.3%), 中枢性6例 (0.9%), 側頭骨外疾患4例 (0.6%), 聴神経腫瘍2例 (0.3%), その他16例 (2.4%) であった.
(4) ベル麻痺, ハント症候群における男女の差は著明でなかった.
(5) ベル麻痺, ハント症候群とも左側にわずかに多かった.
(6) ベル麻痺, ハント症候群の月別発生頻度は, 前者は11月に少なくなっている他は著明な差は見られなかった. 後者も季節的な一定の結論を出すのは困難であった.
(7) ベル麻痺, ハント症候群とも青壮年が多く罹患していた.
(8) 再発性麻痺は40例あり, 一側反復性麻痺14例, 両側交代性麻痺25例, 両側同時性麻痺1例を含んでいた.
(9) ウイルス感染については, 検索を行った73例のうち, 感染ベルは21.3%で, ハント症候群では75%に帯状疱疹ウィルスに感染が認められた.

著者関連情報
© 耳鼻咽喉科臨学会
前の記事 次の記事
feedback
Top