耳鼻咽喉科臨床
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前庭神経炎
神経耳科学的検査所見の推移
松尾 隆晶関谷 透平田 哲康門 啓子野口 高昭沖中 芳彦木戸 利成
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1983 年 76 巻 9special 号 p. 2368-2375

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抄録

当科で経験した30例の前庭神経炎の症例を追跡調査し, その予後について検討した. その結果,
1) 自覚症状は, 経過と共に軽快し, 約3ヵ月後に半数が症状消失するが, 1年以上持続する例では, その後も比較的長く症状が存在する.
2) 自発・頭位眼振は, 経過と共に改善し, 約1年後に半数が眼振の消失をみるが, 長期に存続する例も認め, 3年以上存続する例が4例あった.
3) Caloric test は, 初回検査で無反応のものは, その後も長く無反応状態が持続するが, 反応低下を示す例では, 経過と共に回復する例が多い.
4) GBSTでは, Interval B の時間を計測し, 経過観察中, 68.4%が反応時間の短縮傾向を示した.
5) Caloric test とGBSTとの関係, とくにどちらが先行して回復するのかは, 今回の観察では, 明らかにできなかった.
6) 本症に対するステロイド療法は, 検査上予後に影響しない.
7) 本症の予後は, 必らずしも良好とは言えずとくに Caloric test 無反応の症例は予後が悪い.

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