耳鼻咽喉科臨床
Online ISSN : 1884-4545
Print ISSN : 0032-6313
ISSN-L : 0032-6313
小児における急性中耳炎後のテインパノグラムの推移について
検診時アンケート調査からの推察
佐藤 昭美飯尾 寛治
著者情報
ジャーナル フリー

1985 年 78 巻 1 号 p. 31-40

詳細
抄録

就学時検診で Tympanometry を実施すると同時に急性中耳炎の罹患回数および最近の罹患時期を調査し, 中耳炎治癒後の Tympanogram の推移を観察した. その結果
1) 1年未満ではC型を示すものが30~40%を占め, 耳管に病的状態が残っていると考えられるのに対し, 1年以上では20%と減少し2年以上では罹患回数に関係なく0%, 即ち全例がA型を示し耳管機能が正常化したことを示している.
2) この場合, 鼻, 咽頭疾患の合併があるとこの正常化を遅延させることになり, 引いては再発をおこしやすくなる.
3) 鼻, 咽頭の疾患を有するもので中耳炎の既往のない場合, TGはA型が多く耳管への影響はないと考えられる.
4) 検診時, 中耳カタルと診断したものでは中耳炎の既往がなくてもアンケート調査で上気道感染を思わせる症状を有するものが多く, その家族が気付かないうちに中耳炎に罹患している可能性があり, 熱心な小児科医により高率に中耳炎を発見される事実より小児科医との連携が大切であると考える.

著者関連情報
© 耳鼻咽喉科臨学会
前の記事 次の記事
feedback
Top