耳鼻咽喉科臨床
Online ISSN : 1884-4545
Print ISSN : 0032-6313
ISSN-L : 0032-6313
下咽頭・頸部食道がんにおける多中心性発がん
馬谷 克則鶴田 至宏吉野 邦俊宮原 裕佐藤 武男
著者情報
ジャーナル フリー

1985 年 78 巻 1 号 p. 73-85

詳細
抄録

下咽頭・頸部食道がん102例のうち, field cancerization を示した11例を検討して以下の結論を得た.
1) field cancerization の占める割合は全体の10.8%と高頻度であった.
2) 男性はすべて heavy smoker, heavy drinker であり, タバコ, アルコールが発がんに大きく関与していると考えられた.
3) radiation-induced cancer の症例が女性1例にみられた.
4) 術後の局所再発の原因として, field cancenzation の一部取り残しが考えられるため, 切除範囲の決定は慎重を要する.
5) heavy smoker, heavy drinker の high risk 群には, ヨウ素デンプン反応を応用した色素食道内視鏡検査が有用である.
6) 治療後も長期にわたる厳重な経過観察が必要である.

著者関連情報
© 耳鼻咽喉科臨学会
前の記事 次の記事
feedback
Top