下咽頭・頸部食道がん102例のうち, field cancerization を示した11例を検討して以下の結論を得た.
1) field cancerization の占める割合は全体の10.8%と高頻度であった.
2) 男性はすべて heavy smoker, heavy drinker であり, タバコ, アルコールが発がんに大きく関与していると考えられた.
3) radiation-induced cancer の症例が女性1例にみられた.
4) 術後の局所再発の原因として, field cancenzation の一部取り残しが考えられるため, 切除範囲の決定は慎重を要する.
5) heavy smoker, heavy drinker の high risk 群には, ヨウ素デンプン反応を応用した色素食道内視鏡検査が有用である.
6) 治療後も長期にわたる厳重な経過観察が必要である.