2018 年 16 巻 p. 9-13
東京農業大学は青年海外協力隊員をこれまでに1200名以上輩出している。協力隊の経験を経たOBのなかには農業専門家となり、国際協力機構(JICA)などの農業開発分野で活躍している人も多い。東京農業大学の海外に目を向けた人材の育成には本学の海外展開の歴史、農業拓殖学科の設置、学卒移住、青年海外協力隊のスタートに関わった経験が強く影響している。東京農業大学の農学教育は実習・演習を重視しており、それには本学の教育研究の理念「実学主義」が根底にある。一方、昨今の農業開発分野では食料の増産技術の開発だけでなく、環境、マーケティング、ライフスタイルの問題など統合的に取り組むことができる人材が強く求められており、実習、教育・研究の高度化が必要である。東京農業大学では青年海外協力隊と連携して大学院生を協力隊に派遣する制度を開始し、新たな国際協力人材の育成を試みる。