2020 年 18 巻 p. 56-60
本稿では、2018年度に開始した九州大学の開発大学院連携プログラム体制及び実施体制、そして履修の全体像を報告したのち、留学生事業とJICA開発大学院を行うことの大学側にとっての連携の意義と課題を挙げた。JICA開発大学院を行う意義として、日本の現場あるいは日本の体験について体系的に学ぶ場を提供できることを指摘した。そして、座学と実施見学を通じて実問題を題材に体系的に学ぶことにより日本-留学生母国の国際協力のベクトルを共有する留学生を育成できるメリットがある。また、日本人と外国人学生のクラスシェアを通じ活性ある学びなどを取り入れるなど工夫次第で、日本の発展の歴史を理解し、英語により広く内外に説明できる日本人学生のグローバル人材育成や、地元の課題解決につなげる地方創生にも寄与すると考えられる。課題としては、成果を有機的につなげていくためにも長期的な視点での評価を行う見当が必要である。