燃料協会誌
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天然ガス鉱床の分類
伊田 一善
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1958 年 37 巻 10 号 p. 568-572

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抄録
日本の天然ガスの生産は新鉱床の発見と共に近年著しい増加を示してきた。ところがこの鉱床の分類は源始的な探査技術段階ににおいて仮設定されたものが現在まで踏襲されている。この点鉱床に対する概念の上に誤解を生じ易く, また日本の生産の大半を占める鉱床型式は外国ではあまり着目されていないものであることがわかつてきているので, この分類も独自のものを必要とする。ここには鉱床に対する現在の考え方を明らかにすることを試みた。
鉱床の成立している地層の地質時代, 附随水が高鹹性であるか低鹹性であるか, 鉱床内で天然ガスが水と共に存在し液相を示すか, 単独に気相を示すか, あるいは両者の混合相を示すかなどは鉱床を区分する基本となるであろう。地質学的に考察すると, 地層がすべて含水率の高い状態にある時にガスの挙措はきわめて特殊な様相を示す。すなわちガスは水に伴い地層中に瀰漫し, そのreservoirは相互に完全にまたは不完全に連通しているため化学的または物理的に流体の性格が近似する。またreservoirでない部分でもガスを包含していると考えられる (潤成ガス鉱床) これに対して周囲の岩石が流体の流通を遮断する状態に達している場合は鉱床はその透通性のあるものの中にだけあつて周囲から隔絶した状態となる (包蔵ガス鉱床) すなわちreservoir間の異質性が発達する。このような観点のほかに液相ガス鉱床が地質構造からみて相対酌に低位置でなお透通性の大なる部分に形成された場合は溶解量も多く稼行に堪える鉱床となることがある (低位ガス鉱床) 。これに対して相対的に高い位置に形成された気相または二相鉱床は海外で普通に開発されている型となる。 (高位ガス鉱床) これらの流体鉱床は条件如何により相互に変貌し得るものである。
日本では過去10年間第三紀高鹹性液相低位潤成鉱床が開発対象め主体を占めてきたが今後はさらに富鉱である第三紀の高鹹性である高位包蔵鉱床がこれにかわるであろう。
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© 社団法人日本エネルギー学会
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