燃料協会誌
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燃料資源の合理的利用に就て
今泉 嘉一郎
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1929 年 8 巻 6 号 p. 676-680

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抄録

燃料は其供給の、永續性に關し之を三種類に區別することが出來る、 (一) 非永續性のものとして石炭、褐炭、石油、 (二) 半永續性のものとして木炭、薪木、 (三) 永續性のものとして水力電氣となすことが夫れである、而して (一) は最も貴重なる有機化學工業の資源たるべきものなるが故に單に燃料とするの目的を以て之を使用することは不合理である必ずや將來は是等一層有利なる化學工業に使用し之に依て副産物として出來たものが遇々燃料たるに適する場合に限り之を燃料とする位の事にしかならぬものである、 (二) は殖林と採伐との關係が適當に行はるゝならば永續性が充分なる筈なれども是亦た製紙製毛人絹工業の如きものに益々多量に使用さるゝ爲め資源の永續性甚だ懸念すべきである、 (三) は水力の永續する限り永續すべきものである, 又是等燃料の用途を見れば、 (一) は主として工業用 (動力及照明と骸炭製造) (二) 呈として家庭用であり、 (三) は何れにも未だ廣く用ひられぬものと云ふことになる、而して工業用の大部分たる動力及照明と家庭用の一部たる市街住宅消費とに對しては、 (三) は其代價低廉なるに於ては殆ど完全なる交替性を有するものである、其交替が行はれないのは經濟上不利なるからである、今若し是等の事情より考察すれば水力電氣の使用を有利ならしむると云ふことが「永遠に亘り燃料供給を安全せしむる道である」と思ふ
演者は叙上の觀念の下に (一) 又は (二) の如き燃料が徒らに燃料として消費さるゝ事が漸次制限され (三) の水力電氣が之に代つて行くやうになる爲めに兩者の價格其他の關係が水力電氣を使用する方經濟上有利であると云ふやうに推移することを希ふ者である、而して斯かる状態の推移は技術上には化學, 電氣、機械、動力、建築、鐵道等の諸工業進歩、經營上には電力事業の統一、産業政策の改善等に俟つ外なきを信ずるのである

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