造園雑誌
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近代都市公園の発生と展開に関する研究
ニューヨーク・セントラル・パークのデザインについて
内山 正雄
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1976 年 40 巻 1 号 p. 47-56

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抄録
本論はニューヨークのセントラル・パークのデザイントに関する諸問題の一部について論じているが,その背景及び将来への波及効果についてはふれていない。いわば都市公園の発生と展開の序論的性質のものである。セソトラル・パークの位置,規模,地形,地質及び植生並びに公園委員会の設計競技に際しての条件を示し,これら諸条件に対するオルムステッドの解答,すなわちグリーソスウォード・フランにみられるデザイン理念及び特色、について追求している。
1.オルムステッドは「パーク」の起源を考察し,狩猟地のけものの生活に最適な環境が,人間の自然の経験-にとっても適しており,かつ狩猟人たちの出会いが都市住民のコミュニケーション及びレクリェーションに発展しうるものとした。
2.デザインの基本理念を「いなかの状態」の表現にあるとし,これを牧場的風景と森林的風景の二つのタイプに求めた。その構成にあたり,敷地の地形を尊重し,その特質を活用しながらも単なる自然保存ではなく,全体を一個の芸術作品としてデザインした。
3.堀割横断道路のアイデアは,ロンドンのリージェソト・パーク動物園の先例によるといわれているが,敷地の極めて細長い形態を,ヨーロッパ大陸都市のブールバールに比較し,これに重ねて,動物園の立体交差の上下関係を逆転せしめ,公園利用者の視覚を優先させたものである。
4.インフォーマルな「いなかの状態」のなかに,人々のコミュニケーションのためとして,フォーマルなザ・モールを計画し,特殊な条件の下ではこのような形態に理解を示したが,その配置の成功には地形とアプローチが大いに寄与していると考えられる。
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© 社団法人 日本造園学会
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