抄録
本實験の結果に依り、次の如き斷定に導かれる。
(1) 芝地は、裸地に比し、夏季に於て地表温の上縢少く、冬季に在りては低下著しくない。
(2) 夏季晴天にして地表乾燥せる場合には、日中、芝地は裸地より地表温が平均3℃ 低い。
(3) 夏季曇天にして地表乾燥せる場合、及び晴天叉は曇天にして地表濕潤なる場合には、日中芝地は裸地に比し、地表温が極めて僅少の差を以で低い。
(4) 冬季、晴天にして地表乾燥せる場合には日中、芝地は裸地より地表温が平均4℃ 高い。
(5) 冬季は晴天にして地表濕潤なる場合、曇天にして地表乾燥叉は濕潤なる場合、及び降雪・降雨の場合には、孰れも日中芝地は裸地に比し、地表温が僅かに高い。
(6) 夏季晴天には、書間は、芝地と裸地との地表温は、午前10時前より上騰し、正午乃至午後3時迄に最高に昇り午後3時以降は次第に低下する。夜聞は、芝地が裸地に比し、平均10℃ 高く、最低温は午前4時前後である。
(7) 冬季晴天には、書間は、芝地と裸地との地表温は午前10時頃より漸次上騰し、正午に最高に達し、午後3時前後より低下の途を辿る。夜間は兩地區の差甚だ少く、0°-1℃ を示し、深更に至りては、殆ど差を認められない。最低温は午前2時前後である。
(8) 夏季・冬季を通じて、地表温の最高・最低の差は芝地に於て少く、裸地に於て大きい。
(9) 一書夜中の温度の變化は、芝地は稍緩かであり、裸地は少しく急激ではあるが、兩地區共略同じ傾向を表示する。
(10) 一年中の芝地と裸地との地表温の變化の傾向と、日變化の傾向とは、概ね一致する。