2023 年 2023 巻 222 号 p. 111-148
本研究では、少子化進展の主な要因の一つとされる「未婚化」について、女性の社会進出による就業率上昇が、未婚率を高め、その結果として合計特殊出生率の低下に繋がったことを、1980 年~2015 年の国勢調査を基にした都道府県別パネルデータを用いて検証を行った。 分析結果では、男女雇用機会均等法施行以降、30 代前半、30 代後半、 40 代前半の女性の就業率が高いことが、出生率に負の影響を及ぼしていることを確認した。さらに、女性の就業率と地域の特性でコントロールすると、生涯未婚率が合計特殊出生率へ与える影響を確認できなくなる。一方で、男女雇用機会均等法施行以降、女性の就業率の高さは、生涯未婚率と強い関係があることも確認できた。このことから、未婚化が少子化の主たる原因とされる背景には、男女雇用機会均等法施行以降、女性の就業率が高まったために未婚化が進み、結果として、少子化につながったことを確認できた。