日本舶用機関学会誌
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蒸発エコノマイザ形舶用ボイラの動特性
後藤 寿穂古川 哲郎門田 強古寺 雅晴佐々木 正美寺島 正春高橋 武敏
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1975 年 10 巻 1 号 p. 84-94

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抄録
現在多くの舶用ボイラに採用されている, いわゆる, 二胴水管ボイラにおいては, 主蒸発管束と称する対流伝熱面を有している.この蒸発管の振動問題は主ボイラにおいても, 今後ボイラが大形化するにしたがい, 重要な問題となってくる可能性がある.そこで, この対流蒸発管を廃止し, そこでの熱吸収をエコノマイザ部に負担させ, その結果エコノマイザ部で蒸発を許す蒸発エコノマイザ形ボイラが考えられる.ここでは, 舶用主ボイラの標準的な設計条件を基準として, 蒸発エコノマイザの容量の範囲を求めた.そして, ドラム圧力および水位の過渡応答が蒸発エコノマイザ形としたため, どのようになるかを, 従来形ボイラと比較しつつ解析するとともに, タービンテスト用として陸上に設置した蒸発エコノマイザ形テストボイラにより実験的には握し, 上記解析と比較した.
その結果, 蒸発エコノマイザ形ボイラの過渡特性は制御上特に問題はなく, 具体的には以下のことがわかった.
1.舶用ボイラの標準的設計条件の範囲では蒸発エコノマイザの出口乾き度は25%以下となる.したがって, 蒸発エコノマイザの影響は余り強くなく, ドラム圧力および水位の過渡応答のメカニズムとしては従来の舶用ボイラと大差ない.したがって理論式は従来の方法を一部改良して導出でき, 実験結果を比較的良く説明できる.
2.二相流部の蒸発管容積が小さくなった, ボイド率の高いところで設計できる, などの理由により, 水位の変動は従来形ボイラに比べかなり小さいボイラとなる.
3.自然循環部の熱容量が大幅に小さくなったため, 圧力応答は早いボイラとなる.
4.圧力応答を与える式は, 蒸発エコノマイザの吸収熱量を考慮した蒸発量基準の整理方式がよい.
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