日本舶用機関学会誌
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運航の経済性
松崎 義一
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1979 年 14 巻 2 号 p. 120-121

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抄録

この10年間, 海運界は大きな変動を経験した.すなわち, 前半は日本経済の高度成長による貨物輸送の量・質の変化に対応することであり, 後半は昭和48年のオイル危機を契機とした減速経済に対応することであった.従って, 前半の高度成長期には大量の新造船が建造され, しかも, 船形の大形化及び高速化が急激に進行したが, 後半は一転して, 建造量がそのピークの三割程度に減少した外, 燃料油価格が4~5倍に急騰した事に対応すべく省エネルギを中心とする経済性の追求が要求されることになった.
船舶の大形化はタンカーにおいて著しく, 1978年版の日本船舶明細書によれば20万D.W.以上のULCC又はVLCCの総数は89隻にも達している.昭和39年建造の10万トン形タンカーと10年後の昭和49年建造のULCCの要目を比較すると, Dead Weightは約5倍となっているのに比較し, 主機出力は23, 500馬力から45, 000馬力へと, 約2倍に過ぎず, 大形化による輸送効率の向上がうかがえる.
次に船舶の高速化はコンテナ船に代表されており, 昭和43年建造のH丸と昭和46年竣工のK丸を比較すると下記のとおり, コンテナの積個数が約2倍となり, 航海速力は22.6ktから27ktに上昇し, 一方, 主機出力は約3倍にも増加しており, 速力の上昇に比較して主機出力の増加 (従って燃料消費量の増加) が大幅であることがわかる.

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