最近, 電磁カップリングは, 回転機の速度制御装置や舶用機器のねじり振動緩和装置など各方面で大いに使用されるようになってきた.電磁カップリングの構造的設計法については, E.J.Davies氏による一般式がかなりよく当てはまることが知られているが, 一方, その電気―機械系の諸特性に関する物理的内容を十分理解できるような等価回路については, まだ, 検討し尽くされていない.また, 電磁カップリングを用いた速度制御系においては, 従来, 励磁電流と出力トルクとの関係を表わす伝達関数は定Kτで時間遅れはないものとして取り扱われてきた.本論文で, 著者は塊状回転電機子形電磁カップリングの動作特性をは握できるきわめて簡単な電気的等価回路を考案し, これに基づいてその動作特性を解析している.さらに, 励磁電流と出力トルクとの関係を周波数応答法により実測して, その伝達関数を検討した結果, 遅れ要素とみなすべきであるという結論が得られた.さらに, この結果に基づいて, 効率, 速応性および形状寸法などの点ですぐれた特徴をもつサイリスタチョッパを励磁電流制御装置として用いた速度制御などを考案した.