Journal of the Japan Institute of Metals and Materials
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Solid Solution Hardening in Supersaturated Al-Mg-Si Alloy
Ken TakataKohsaku UshiodaKenji KanekoRyutaro AkiyoshiKen-ichi IkedaSatoshi HataHideharu Nakashima
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2018 Volume 82 Issue 8 Pages 314-318

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抄録

The yield strength and work hardening of Al-Mg-Si alloys are related to the concentration of solute atoms. This study was carried out to clarify the effect of two kinds of solute atoms on these properties in terms of a linear combination of contributions from a solid solution. Tensile tests were conducted with Al and with Al-0.62Mg-0.32Si, Al-0.65Mg-0.81Si, Al-2.4Mg and Al-4.4Mg (mass%) alloys in solid solution. Work hardening was analysed using the Kocks–Mecking model, yielding two parameters which indicate the storage and recovery of dislocations in the material. The yield strength could not be expressed as a linear combination of solute atom concentrations, but the amount of dislocation storage and dynamic recovery could be expressed as such linear combinations. In the high-strain region, the Kocks–Mecking model no longer applies, and the maximum stress at which the model failed increased with increasing concentrations of solute atoms. It is generally known that an interaction between strain fields around solute atoms and quenched-in vacancies can affect the yield strength owing to dislocation motion and that these atoms can retard the development of microstructure in high-strain regions. A linear combination of contributions from solid solutions is possible only for the storage and recovery of dislocations in the low-strain region.

1. 序論

金属中の寸法因子の大きな置換型固溶原子は転位の移動抵抗として働く.固溶原子濃度が小さい場合,母相金属は固溶原子からひずみを受け,母相の格子定数が変化する1.また,固溶原子はその周辺に局所的なひずみ場を形成し,転位と相互作用することで転位の移動抵抗として働く.その結果,材料強度は増大する.

降伏応力近傍のひずみ域では,固溶原子の形成する局所的ひずみ場による転位の固着から転位が脱するのに必要な応力が固溶原子による降伏応力の増分に相当すると考えられている2.局所的なひずみ場同士が重ならない低固溶濃度域では,固溶原子による降伏応力の増分は固溶原子濃度の1/2乗に比例する2

塑性変形域では,固溶原子は転位のすべり挙動への影響を通して転位の蓄積と消滅に影響を及ぼすことで転位密度を変化させる.転位密度の変化は以下の式(1)のTaylorの式で表現されるように,塑性変形域での応力に影響を及ぼすとされている3.   

σ D =αμbM ρ 1/2 (1)
ここで,σDは塑性変形域での流動応力から降伏応力を引いた値である.αμbMρは,それぞれ,定数,剛性率,バーガースベクトルの大きさ,Taylor因子,転位密度である.さらに,塑性変形中の転位密度の変化については,KocksとMeckingは式(2)で記述されるモデル(Kocks-Meckingモデル)を提唱した4,5.   
ρ ε = k 1 ρ 1/2 - k 2 ρ (2)
ここで,εはひずみ,k1k2は係数である.式(2)の右辺の第一項は転位蓄積による転位密度の増大を,第二項は動的消滅による転位密度の減少を示す.すなわち,固溶原子は,その周囲に局所的に形成されるひずみ場と転位との相互作用による転位の蓄積,およびこれと同時に生じる転位間相互作用による動的消滅に影響を及ぼすこと,を式(2)は表わしている.k1k2は固溶濃度の関数と考えられるが,定式化はされていない.応力σDは転位密度のみを独立変数とする関数であり,かつ転位密度はひずみのみを独立変数とする関数(温度や結晶方位は一定と仮定)である場合,式(1)式(2)より以下の式(3)が得られる.   
d σ D dε = σ D ρ ρ ϵ = 1 2 αμb k 1 M- 1 2 k 2 σ D (3)
それゆえ,Taylorの式とKocks-Meckingのモデルが成立すれば,引張試験で得られる応力—ひずみ線図から加工硬化率dσD/dεと応力σDのプロット(Kocks-Meckingプロット)により直線関係が示され,直線の切片と傾きからそれぞれk1およびk2が得られる.比較的ひずみ量が小さい時には,Al-Mg合金では,固溶Mg原子濃度の増大により合金の強度と式(2)におけるk1は増大し,k2は減少することが報告されている6,7.Al-Cu合金においても,固溶Cu原子濃度の増大により合金の強度と式(2)におけるk1は増大しk2は減少することが報告されている7,8.一方,高ひずみ域すなわち高転位密度域では,転位セルが形成されるので,この場合はもはや低ひずみ域で示されるKocks-Meckingプロットでの直線関係は高ひずみ域では成立しないと予想される.しかし,高ひずみ領域まで含めたKocks-Meckingモデルの検討は十分されていない.

また,複数種の固溶原子が存在する場合,それらの固溶濃度が小さければ,個々の固溶原子が形成する局所的ひずみ場が重複する可能性は小さく,材料強度は各種固溶原子の強度への寄与量の線形和で表現できると考えられる.Myhrら9は,Al-Mg-Si合金において析出物が形成される時の降伏強度について議論しており,析出物の降伏強度への寄与に加え,残存する固溶Mg原子と固溶Si原子による降伏応力の増分を残存固溶Mg原子と残存固溶Si原子による降伏強度増分の線形和として計算し,この計算値を用いて析出物と固溶Mg原子と固溶Si原子が存在する場合の合金強度を算出した.この強度値の硬さへの換算値は硬さの実験値と良い一致を示した9.しかし,これまで,複数種の固溶原子が固溶状態にて存在する場合,各固溶原子の降伏応力と塑性変形応力への寄与に関して定量的に比較検討した報告はない.

本研究では,Al-Mg-Si合金の過飽和固溶状態を用いて,固溶Mg原子と固溶Si原子が共存する場合の降伏応力と塑性変形応力へのこれら原子の寄与量に関して,加算則が成立するかどうかという観点から定量的な比較検討を行った.

2. 実験

Table 1 は使用した合金の成分である.これら合金中のMgとSi以外の元素の添加量は合金に依らずほぼ同じである.合金Pは添加元素を極力少なくした合金(純Al),合金BはMgとSiの成分比が2:1であるバランス合金,合金ESは合金BよりもSiを過剰に含有した合金である.これらの合金に対して,実験室にて鋳造,均質化熱処理,熱間圧延,冷間圧延,溶体化熱処理を施した.均質化熱処理では560°Cにて6時間保持の処理を施した.熱間圧延の圧延開始温度は530°Cであり,板厚を 72 mmから 4 mmまでの圧延を施した.冷間圧延では板厚 4 mmから 1 mmまでの圧延を施した.冷間圧延材から引張方向を圧延方向に平行としたJIS5号引張試験片を作製した.試験片の標点間距離は 50 mmである.これらの試験片に550°Cの大気炉中に30分間保持する溶体化熱処理を施した.熱処理後は速やかに氷水への焼入れを実施した.その後,室温にて引張試験を実施するまでの間,試験片を液体窒素中に保管することで過飽和固溶状態を維持した.

Table 1

Alloy compositions for Al-Mg-Si alloys and pure Al.

Table 2 は,本研究にて使用したMgの添加量が異なる規格Al-Mg合金である5052合金と5182合金の成分を示す.厚さ 1 mmのこれらの合金からJIS5号引張試験片を作製し,室温にて引張試験を行った.引張方向は圧延方向に平行とした.これら合金ではMgは固溶状態である.

Table 2

Alloy compositions for Al-Mg alloys.

Table 1Table 2 に記載の合金の平均結晶粒径は 50~100 μmであった.結晶粒径の降伏強度への影響はほぼ同じとみなし,これらの合金間の強度差は固溶Mg原子と固溶Si原子の濃度差によるとして解析を行った.

引張試験では,降伏応力を正確に測定するために降伏点までのひずみ域では引張速度を 1 mm/minとした.0.2%耐力値を降伏応力値として求めた.引張試験中でのAl-Mg-Si合金におけるMg-Siクラスタの形成の影響を最小限にとどめるため,降伏点以降のひずみ域では引張速度を 10 mm/minとした.ひずみはゲージ長さ 50 mmでの伸び計から計測した伸びより算出した.

3. 結果と考察

3.1 引張試験結果

Fig. 1 に合金P,合金B,合金ES,Fig. 2 に5052合金と5182合金の引張試験で得られた公称応力-公称ひずみ曲線を示す.両図において,固溶原子量の増加に従い,降伏応力と引張応力はともに増大する傾向が示された.Table 3 にはこれら応力-ひずみ曲線より求められた引張特性値を示す.

Fig. 1

Stress-strain curves in Al-Mg-Si alloys and pure Al.

Fig. 2

Stress-strain curves in Al-Mg alloys.

Table 3

Tensile properties for various alloys.

3.2 降伏応力の評価

固溶原子周辺に形成される弾性ひずみ場が重ならないほど固溶濃度が小さい場合,合金の降伏応力σが固溶Mg原子と固溶Si原子の降伏応力増分の線形和として表されるならば,以下の式(4)が得られる.   

σ= σ 0 + k Mg C Mg 1 / 2 + k Si C Si 1 / 2 (4)
ここで,σ0CMgCSiは,それぞれ,母相Alの降伏応力,固溶Mg濃度,固溶Si濃度であり,kMgkSiは係数である.Table 1 からCMgCSiは,合金Pではそれぞれ 0 at%と 0.02 at%,合金Bではそれぞれ 0.76 at%と 0.34 at%,合金ESではそれぞれ 0.80 at%と 0.87 at%と算出される.σTable 3 に記載のσy値である.Al中のMg原子の弾性ひずみ場が重ならない濃度は 15 at%以下,Al中のSi原子の弾性応力場が重ならない濃度は 1.0 at%以下と推定される1.したがって,式(4)は成立すると仮定した.これらを式(4)に代入することで,σ0=21 MPa, kMg=3.8 MPa/at%1/2kSi=40 MPa/at%1/2が得られた.

Table 4 は規格純Al合金の成分と降伏応力10を示す.これら合金の成分値は,合金P,合金B,合金ESにおける,Mg濃度とSi濃度以外の成分値と近い.本測定で得られたσ0(21 MPa)はこれらの規格合金の降伏応力(15 MPa)に近いため,本実験で得られたσ0は母相Alの降伏応力値を示している.

Table 4

Alloy compositions and yield strength.

Fig. 3 は規格Al-Mg合金における固溶Mg濃度(at%)の1/2乗と降伏応力値の関係を示したものである.本研究で得られた,5052合金と5182合金における降伏応力値と固溶Mg濃度の1/2乗との関係は,過去の文献値11のそれと良い一致を示している.Fig. 3 中の傾斜からkMg=38±3 MPa/at%1/2が得られた.Al-Mg-Si合金の過飽和固溶状態で得られたkMgの大きさは 3.8 MPa/at%1/2であり,Al-Mg合金で得られたそれの1/10である.Al-Si合金での固溶Si濃度あたりの降伏応力の増加量は,Al-Mg合金での固溶Mg濃度あたりのそれよりもわずかに小さいことが報告されている12.本測定ではkMgkSiであり,得られたkSiはAl-Si合金でのそれよりも大きかった.以上の結果は,MgとSiが過飽和固溶状態でのAl-Mg-Si合金の降伏応力は固溶Mgによる降伏応力増分と固溶Siによる降伏応力増分の線形和で示すことができないことを示唆する.

Fig. 3

Relation between yield strength and concentration of Mg in Al-Mg alloys.

式(4)で示された線形和が過飽和固溶状態でのAl-Mg-Si合金において成立しない原因として以下の2点が考えられる.

第一の原因としては,固溶Mg原子が形成するひずみ場と固溶Si原子が形成するひずみ場が重複するために,両固溶原子の降伏応力の寄与量が固溶濃度の1/2乗に比例しないことが考えられる.Al中の固溶Mg原子のひずみ場同士が重なる濃度は 15 at%以上,Al中の固溶Si原子のひずみ場同士が重なる濃度は 1.0 at%以上と考えられている1.本研究では,それぞれ 0.80 at%と 0.87 at%であるので,お互いの固溶原子によるひずみ場は重ならず,線形和が成立しても良いことが期待される.従来の研究においては,異種原子が固溶共存する場合,これら原子のひずみ場が重なる濃度に関して線形和の不成立を示唆する報告はない.Mg原子は原子半径がAlより著しく大きく(+11%),一方Si原子は小さい(-7%)13.したがって,両元素が共存する場合には原子間に相互作用が働き,降伏強度への影響に関して上記のような結果をもたらした可能性が考えられる.BCC Fe中にFe原子よりも原子半径の大きいCu原子と原子半径が小さいSi原子が共存する場合にも,同様に強度が両原子の相互作用の影響を受けることが報告されている14

第二の原因として考えられるのは,焼き入れ空孔の影響である.Al-Mg-Si合金において,溶体化熱処理直後では固溶Mg原子と固溶Si原子は焼き入れ空孔と対を形成している15.Al-Si合金では,焼き入れ空孔が存在すると降伏応力が増大することが報告されている12.それゆえ,Al-Mg-Si合金においても,過飽和固溶状態であっても固溶Si原子は空孔と対を形成し,転位の移動への抵抗を大きくし,降伏応力を増大させたと考えられる.しかし,空孔の降伏応力増大への効果は小さい.そのため,今回得られた降伏応力の差異の主要因は2原子間の相互作用による可能性が高い.本研究では降伏応力の線形和不成立の要因を明確にすることはできなかった.

3.3 塑性変形応力の評価

Fig. 4 には合金P,合金B,合金ESのKocks-Meckingプロットを,Fig. 5 には5052合金と5182合金のKocks-Meckingプロットを示す.全ての合金において,低応力域すなわち低ひずみ域においてdσD/dεσDの間には直線関係が見られた.

Fig. 4

Work hardening rate vs flow stress for Al-Mg-Si alloys and pure Al.

Fig. 5

Work hardening rate vs flow stress for Al-Mg alloys.

Fig. 6Fig. 7 は,Fig. 4Fig. 5 に示される直線部分から得られた直線の切片の値と傾きの値の固溶Mg原子と固溶Si原子の原子濃度和に対する変化を示す.両図における縦軸の値の変化はそれぞれ転位の蓄積(加工硬化)と関係するk1の変化,および動的ひずみと関係するk2の変化を示す.Fig. 6Fig. 7k1k2が固溶濃度の和に依存すること,すなわち加工硬化と動的ひずみが各固溶元素の固溶濃度の線形和で表記できることを仮定して得られた図である.Al-Mg合金とAl-Cu合金では,固溶濃度の増加にしたがい,k1は増大し飽和する傾向があり,一方,k2は減少し減少量は低下する7Fig. 6Fig. 7 に示された本研究における傾向もこれらと同じである.さらに,Al-Mg合金における固溶Mg濃度のk1k2への影響とAl-Mg-Si合金における固溶Mg濃度と固溶Si濃度の和のk1k2への影響は一本の曲線に乗っており,各原子の固溶濃度のk1k2への寄与に大きな差異は見られなかった.これらの結果は,低ひずみ領域における固溶Mg原子の加工硬化および動的ひずみへの寄与は固溶Si原子のそれらへの寄与と類似していること,およびk1k2の変化はこれらの固溶原子濃度の和で示されることを示唆する.この結果は,固溶原子の複合添加の影響が,降伏強度と加工硬化および動的ひずみとで異なることを意味する.

Fig. 6

Concentration dependence of the work hardening intercept of lines in Fig. 4 and Fig. 5.

Fig. 7

Concentration dependence of the slope of lines in Fig. 4 and Fig. 5.

Al中では,固溶Mgの原子半径と固溶Siの原子半径はAlのそれよりも,それぞれ著しく大きく,小さい.そのため,固溶Mg原子周囲の結晶格子は圧縮の弾性応力場を受け,固溶Si原子周囲の結晶格子は膨張の弾性応力場を受ける1.本研究で得られた結果の原因は現時点で明らかではないが,過去の結果7と同じように,固溶原子による転位の蓄積や動的消滅への影響は固溶原子周辺の弾性応力場の種類に大きく依存しないことを示唆している.

一方,高ひずみ域では,Kocks-Meckingプロットの低ひずみ域での直線関係からの逸脱が起こり,応力の増大にしたがいプロットの傾きは小さくなった.式(3)よりこのような傾きの低下はk2の低下,すなわち動的消滅量の減少を示す.

Fig. 4 より,合金Bと合金ESにおけるKocks-Meckingプロットからの逸脱は応力σDが約 90 MPaで起こると考えられ,この値は合金Pでの値 35 MPaよりも大きい.また,逸脱が生じるひずみ値での縦軸の加工硬化率dσD/dεは合金ESの場合に最も大きく,続いて合金Bの場合であり,合金Pの場合では最も小さい.式(1)より,この応力値の増大は,高ひずみ域における転位下部組織の発達と安定化が合金Bと合金ESではより高転位密度な高ひずみにシフトしていると解釈できる.すなわち,この結果は合金Bや合金ESでは塑性不安定現象が合金Pに比べて高ひずみで生じていることを示唆しており,固溶Mgや固溶Siの添加で強度とともに一様伸びが同時に向上した結果(Figs. 1, 2)を支持する.Fig. 5 より,固溶Mg量の多い5182合金におけるKocks-Meckingプロットからの逸脱は応力σDにて約 130 MPaで起こり,これは5052合金における同値の 90 MPaよりも大きかった.また,逸脱が生じる縦軸の加工硬化率dσD/dεはMg量が多い5182合金の方が高い.この結果は,固溶Mg量の増大により転位下部組織の発達は遅延し,高転位密度(高ひずみ)にシフトしていることを示す.WaldronのTEM観察によれば,Mg添加量の増大にしたがい転位下部組織の発達は遅延し,比較的一様な高転位密度組織が発達する16.本研究結果は,Waldronの報告と定性的に一致する.これらKocks-Meckingプロットからの逸脱が発生するひずみ値は,引張速度を 1 mm/minから 10 mm/minに変化させたひずみ値よりも大きく,本実験では引張速度の影響を示していない.

4. 結論

Al-Mg-Si合金における降伏応力と塑性変形応力への固溶Mg原子と固溶Si原子の寄与を把握するため,固溶原子濃度の異なる同合金の引張試験を過飽和固溶状態にて行い,以下の結果を得た.

(1) 降伏応力は,固溶Mg原子と固溶Si原子の降伏応力寄与量の線形和で表すことはできなかった.この原因として,固溶Mg原子と固溶Si原子の間での相互作用が働いたことと,固溶原子と対をなした焼き入れ空孔が固溶原子と転位との相互作用に影響を及ぼしたことが考えられたが,明確な原因解明はできなかった.

(2) 低ひずみ域ではKocks-Meckingのモデルが成立し,転位の蓄積と動的消滅量は固溶Mgの寄与量と固溶Si原子の寄与量の線形和で表記できた.

(3) 高ひずみ域ではKocks-Meckingのモデルは成立しなかった.これは転位の再配列に起因すると推測された.転位の再配列は固溶原子により抑制されると考えられた.転位は一様に分布する傾向があり,転位の再配列が生じる転位密度は固溶原子濃度の増加とともに増大することが示唆された.

謝辞

本研究において使用した合金試料を作製いただいた古河スカイ(現UACJ)に感謝いたします.

引用文献
 
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