Journal of the Japan Institute of Metals and Materials
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Special Issue on Frontier of Recycling Technology for Precious Metals II
Frontier of Recycling Technology for Precious Metals II
Yu-ki TaninouchiToru H. Okabe
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2021 Volume 85 Issue 8 Pages 273

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貴金属(金,銀,白金族金属)は,多様なレアメタルの中でも特に希少で高価である.また,貴金属はハイテク製品や環境・省エネ製品にも用いられており,その需要は近年ますます高まっている.資源ナショナリズムや投機筋の動きなど様々な理由を背景として,貴金属の価格は乱高下する危険性を常に有している.そのため,使用済み製品(プリント基板や自動車の排ガス浄化触媒)や廃棄物からの貴金属のリサイクルは,国内産業力を維持する上でも極めて重要な取り組みであり,産学を挙げて活発に技術開発が行われている.

こうした背景の下,本会誌の2017年4月号において,貴金属のリサイクル関連技術を特集した.この1回目の特集号には,大学や公的研究機関からの記事だけでなく,国内の非鉄金属・貴金属産業界からの報文も収録されており,その内容に対して好評をいただいた.また,東京大学生産技術研究所では,日本金属学会の協賛のもと,特別・合同シンポジウム「貴金属の製錬・リサイクル技術の最前線」が毎年開催されている.2021年1月には8回目のシンポジウムがオンライン形式で行われ,産官学から約300名が集まり,活発な議論が交わされた.本分野において日本が今後も世界をリードしていくには,プロセス技術や環境技術のより一層の発展が重要であると改めて認識された.

以上の状況を踏まえ,この度,貴金属のリサイクル関連技術に関する2回目の特集を組んだ.学術界からだけでなく産業界からの寄稿も多数収録しており,貴金属リサイクルに関する最新の動向とその課題や今後の方向性を把握する上で有益なものとなっている.

最後に,本特集号の発刊に際し,本企画の趣旨にご賛同のうえ貴金属のリサイクルに関する興味深いレビューをご投稿頂いた著者の方々,また厳正な審査をして下さった査読者,そして一連の校閲と編集作業にきめ細かく対応して下さった編集スタッフの方々に,厚く御礼申し上げる次第である.

 
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