Journal of the Japan Institute of Metals and Materials
Online ISSN : 1880-6880
Print ISSN : 0021-4876
ISSN-L : 0021-4876
Regular Article
Dominant Factors Controlling the Initiation of Hydrogen Embrittlement in Al-Zn-Mg Alloy
Hiroyuki TodaKyosuke HirayamaShogo YamaguchiHiro FujiharaRyota HigaKazuyuki ShimizuAkihisa TakeuchiMasayuki Uesugi
Author information
JOURNAL FREE ACCESS FULL-TEXT HTML

2024 Volume 88 Issue 3 Pages 39-47

Details
Abstract

The surrogate-based microstructural optimization was applied to describe the relationship between local crystallographic microstructure and intergranular hydrogen embrittlement in an Al-Zn-Mg alloy. The support vector machine with an infill sampling criterion was used to realise high-accuracy optimisation with a limited size of data set. The methodology integrates thoroughgoing microstructural quantification, a couple of coarsening processes and the surrogate modelling. An objective function was defined together with 66 design parameters, which quantitatively express the size, shape, orientation and damage during specimen machining for surface grain boundaries and grains. The number of design parameters was then reduced from 66 to 3 during the two-step coarsening process. It has been clarified that intergranular crack initiation is described using the simple size of grains and grain boundaries together with grain boundary orientation with respect to the loading direction. It can be inferred that those design parameters are of crucial importance for crack initiation through the elevation in stress normal to grain boundaries. Correlation between the selected design parameters and crack initiation was rather weak compared to the past application of a similar technique to particle damage. The reason for this was discussed. The present approach offers a cost-efficient solution for the prevention of hydrogen embrittlement through 3D design of crystallographic microstructure, which cannot be obtained with the conventional approaches for developing materials.

 

Mater. Trans. 64 (2023) 2729-2738に掲載

1. 緒言

アルミニウムの水素脆化に際しては,結晶粒界の破壊,結晶粒内の塑性変形が促進される水素誘起局所塑性(HELP),粒内の擬へき開破壊が観察される1.また,アルミニウム合金では,水素が高密度なミクロポアとして析出し,粒内の延性破壊を助長することも知られている2-4.そして,粒界破壊,擬へき開破壊,内在ミクロポアの成長・合体という3つの破壊機構が同時に生じ,それらが時間的,空間的に相互作用する様子が観察されることも珍しくはない.

ところで都留等は,多数の水素原子をAl-Zn-Mg合金のη析出物とアルミニウム母相との整合界面に置く第一原理計算を行い,界面凝集エネルギーが水素の濃化とともに徐々に低下し,最終的にはゼロになることを示した5.興味深いことに,界面水素濃度の上昇とともに析出物/母相界面が徐々に開口し,ついには剥離に至る様子も再現されている5.著者等は,これを析出物界面の半自発的剥離と称している.アルミニウムでは析出物/母相界面の結合エネルギーが鉄鋼など他の金属と比較しても低いため,水素の解離吸着による高い表面トラップエネルギーにより破面形成エネルギーが相殺されるというのが半自発的剥離の物理的な説明である.これは,これまで明確ではなかった粒内の擬へき開破壊について,そのナノレベルの発現機構や定量的な発現条件を与えるものである.著者等は,半自発的剥離を生じるための臨界の界面水素濃度を用い,水素脆化亀裂の進展を理解する3Dイメージベースシミュレーションを行っている6.亀裂先端の静水圧応力場では結晶粒同士の相互作用の効果も重畳し,高い静水圧引張応力が発生する6.水素は比較的短時間でここに濃化し,半自発的剥離を生じるための臨界の界面水素濃度近くまで達する.そして,半自発的剥離の発生により擬へき開亀裂の進展をよく説明できることが示されている6

一方,同様のアプローチで水素脆化による亀裂発生を解析したところ,亀裂発生前の多結晶組織だけでは静水圧応力の上昇は限定的であり,亀裂発生を説明できるほどの水素濃化は予測されなかった7.水素脆化による粒界破壊では,厳しい水素環境下で水素脆化感受性の高い材料では多数の粒界亀裂が同時に発生することもあるし8,ごく少数の亀裂のみが観察される場合もある9,10.水素が結晶粒界に濃化することは,3Dアトムプローブなどにより直接的に観察されている11,12.水素の濃化は,特に粒界三重点で顕著に生じると報告されている12.粒界破壊は,濃化した水素が粒界の原子結合を弱めることで生じるとされる13.特にアルミニウムの場合には,析出物/母相界面の場合と同様,水素の濃化だけで界面凝集エネルギーが消失するという半自発的剥離が山口等の第一原理計算により予測されている14.無論,結晶粒界は完全に自発的な剥離を呈するわけではなく,通常は応力支配とされる脆性的な粒界破壊を水素がアシストする形で発生すると考えるのが合理的であろう15.そのため,材料強度の影響も顕著に現れるのが普通である15.また,鉄鋼におけるMnやSiのように粒界を脆化させる元素が粒界にあれば粒界破壊は促進されるし15,逆に鉄鋼の旧オーステナイト粒界上の炭素のように水素の影響による粒界破壊を抑制する元素も存在する16.加えて,粒界性格によって水素の偏析の程度は異なり,これが粒界の水素脆化破壊抵抗に影響する13.つまり,整合性が高く,自由体積が小さく,エネルギーの低い粒界は水素脆化に強いとされる13,17,18.また,水素脆化感受性の結晶粒径依存性もよく知られている19,20.様々な情報が報告されているなかで,効率の高い組織制御を志向すれば,どのようなミクロ組織因子がどの程度,粒界破壊を支配するかを総合的に評価し,把握することが重要と言える.

著者等は,リバース4D材料エンジニアリングと称する,ミクロ組織とマクロ特性の統計的な相関性を俯瞰的に評価・解析できる手法21,22を提案している.これは,材料のミクロ組織を高精度に3D観察し,得られた情報を忠実に再現する3Dイメージベースモデルを作成して何らかの数値シミュレーションを実施し,ミクロ組織の形態を表す設計変数と材料のマクロな挙動を記述する目的関数との相関性を求めるものである.ここでは,現実の材料のミクロ組織の複雑さと有限なイメージング特性のため,数十個の設計変数を用いてミクロ組織形態を記述し,敢えて冗長性の高い定量評価を適用する.その後の粗視化過程では,目的関数と相関性の高い限られた数の設計変数を特定し,それを用いてメタモデルを構築して相関性を表現する.一連の解析は高精細な3D画像に基づくため,粒子の微細な表面形態やクラスタリングなど,複雑なミクロ組織の形態制御が可能になる点が特徴である.また,これを高力アルミニウム合金の分散粒子やミクロ欠陥が損傷・破壊挙動に及ぼす影響の評価に利用し,損傷のし易さを決める数個の支配因子の特定,損傷挙動のミクロ組織依存性の可視化,最弱組織・最適組織の提示などに成功している21,22

本研究では,通常のX線トモグラフィーによる高分解能粒界亀裂4D観察に加え,同じ試験片に回折コントラストトモグラフィー法23,24を用いた多結晶組織の3D可視化を適用し,数百個の表面結晶粒界からの水素脆化亀裂発生挙動を克明に記録する.このデータにリバース4D材料エンジニアリング技法を応用し,水素脆化により亀裂を発生させる結晶粒界の様々な性状・特徴のうち,粒界破壊を支配するミクロ組織因子を特定する.そして,粒界破壊挙動の多結晶組織依存性の可視化,水素脆化を考えた最弱多結晶組織および最強多結晶組織の提示などを試みる.

2. 実験・解析方法

2.1 水素脆化挙動の4D観察

2.1.1 供試材

Al-10Zn-1.06Mg純3元系合金(mass%)を試作した.不純物として,Si, Cu, Mn, Cr, Tiがそれぞれ0.005 mass%, 0.016 mass%, 0.001 mass%, 0.001 mass%, 0.018 mass%含まれていた.供試材は,鋳造後,773 K-2 hの均質化処理,723 Kの熱間圧延,773 K-2 hの溶体化処理を行い,氷水中に急冷した後,直ちに393 K-40 h+453 K-7 hの時効処理を施し過時効状態とした.その後,水素チャージを兼ねて水中放電加工で微小試験片を採取した.試験片形状は,文献と同じである25.水中放電加工により,同様のアルミニウム合金の水素量が50倍程度増加することが報告されている26.チャージされた水素を試料内部へ充分に拡散させるため,放電加工後,96 hの間,室温で保持してから試験に供した.供試材の水素量は,昇温脱離分析で測定した.昇温速度は1.5℃/minとし,580℃までに放出される水素量を測定したところ,6.85 mass ppmと高い水素濃度値が得られた.

2.1.2 引張試験の放射光下その観察

引張試験のその場観察は,投影型X線CTを用いて高輝度放射光施設SPring-8のBL20XUで行った.得られた3D画像の画素サイズは0.50 µm3,実効空間分解能は1.0 µmである.X線エネルギーは20 keV,試料から検出器までの距離は20 mmとした.アルゴンフロー環境で試験片に引張変位を与え,0.01 mm変位毎に15 min間の変位保持と,X線CTの撮像を繰り返した.統計的に充分なデータを得るため,7本の試験片について同じ条件での引張試験を繰り返し,データを蓄積した.再構成には畳み込み逆投影法を用い,8 bit画像のグレースケール範囲は,線吸収係数で0-40 cm−1とした.

引張負荷前には,試験片標点間部の多結晶粒像および結晶方位分布を回折コントラストトモグラフィー法(DCT)により取得した.X線エネルギーを30 keVとし,試料の6 mm後方に設置したCMOS検出器を用い,アルミニウムの(111),(200),(220)面からの回折スポットを取得した.ここでは,試料を360°回転させることでフリードルペアーを利用した再構成を行い,2重回折の影響を除去した.なお,負荷をかけると回折斑点がぼけて再構成精度が大きく低下するため,DCT法の計測は無負荷時のみとした.

2.2 画像解析

2.2.1 亀裂と多結晶組織の位置合わせ

供試材では,ある程度の塑性変形を生じた後,亀裂が発生する.そのため,無負荷時にDCT法で撮像した多結晶像と試験片の塑性変形後に現れる亀裂像の正確な位置合わせができず,亀裂発生箇所(結晶粒内か結晶粒界か,そしてどの結晶粒界面,粒界三重線ないしは粒界四重点上かなど)の正確な特定が困難となる.そこで,既報で構築した破壊経路予測技術2,3を組み合わせることで無負荷時の亀裂位置および形状を推定し,これと無負荷時に得た多結晶像とを位置合わせした.

2.2.2 亀裂発生のメタモデル解析

既報で提案した代理モデルによる最適化法を活用した21,22.多結晶組織の性状を定量的に表現するに当たり,表面結晶粒界,表面結晶粒界を構成する一対の結晶粒,表面粒界三重点を構成する3つの結晶粒の3つのカテゴリーを設けた.そして,それぞれに結晶粒や結晶粒界のサイズ,形状,配向,結晶方位を表すシュミット因子,局所テイラー因子などのパラメータ(設計変数)を用意した.そして,設計変数同士の相互依存性が小さく,かつ粒界亀裂の発生抵抗の小ささ(目的関数)との相関性が高い設計変数のみを抽出した.これを用いてメタモデルを構築し,多結晶組織の性状と粒界破壊傾向の関係を可視化した.相互依存性の排除には主成分分析を,相関性の評価にはグローバル感度分析を用いた.本研究では,数百の結晶粒界面から発生する数十本の粒界亀裂を解析対象とする.これは,統計解析としてはデータ点数がかなり乏しいため,限られたデータサイズで精度の高い解析ができるよう,メタモデルの構築にはインフィルサンプリング基準を用いたサポートベクターマシンを用いた.詳細は,既報に詳しい21,22.ここでは,既報とは異なる設計変数および目的関数の詳細を以下に述べる.

(1)設計変数の詳細

粒界性状を表す設計変数のカテゴリーとして,表面粒界面(SG(Surface Grain boundary)と表記),表面粒界面を構成する2つの表面結晶粒(GP(Grain Pair)と表記),表面粒界三重線を構成する3つの表面結晶粒(TJ(Triple Junction)と表記)の3つを設けた.そして,考えられる設計変数をブレインストーミング的にリストアップして計測した.Table S1に全ての設計変数のリストを示す.

まず,カテゴリーSGには,粒界の面積,負荷方向と粒界面法線のなす角で定義する配向角,アスペクト比,平均曲率,そして粒界近傍のポア密度の計5つの設計変数を用意した.水素が析出してできるミクロポアは,粒界上,ないしは粒界近傍に生成する傾向があり,水素脆化挙動に影響する可能性があるので設計変数に加えた.

粒界近傍の歪局在化は,結晶粒界を挟む結晶粒の変形ミスマッチによって生じる.したがって,粒界を構成する結晶粒の性状などの影響が大きいものと推察される.そこで,カテゴリーGPでは,2つの結晶粒の体積,平均曲率,隣接結晶粒数,球状偏差,立方偏差,局所テイラー因子,シュミット因子の比,および結晶粒間の相対方位差を準備した.球状偏差,立方偏差の定義は,既報にある21,22.局所テイラー因子の算出には,材料内部の3D歪分布が必要となる.試験片の標点間には15738-20289個のミクロポアが存在し,外部負荷に伴いこれらの物理的な変位が生じる.したがって,逆に全てのミクロポアの物理的な変位を計測すれば,外部負荷による局所歪み分布が計測できる.手法の詳細は,既報に譲る24,27.これらに加え,切断率を定義した.表面に位置する結晶粒は,試験片作製過程の切断により,元々のサイズから大なり小なり小さくなっている.切断率の定義は,切断前の結晶粒体積から残存する部分の体積割合である.この場合,試験片作製前の結晶粒形状は,計測できない.そこで,まず試料内部の完全結晶粒を12個ランダムに選び,Fig. 1に示すように,それらの3D像を用い完全結晶が表面から徐々に損耗して小さくなる時の断面減少率の変化を校正曲線として取得した.そして,表面結晶粒を対象に,表面における結晶粒の断面積を表面から3 µm下の断面における断面積で除して求めた断面減少率から各表面結晶粒の切断率を推定した.これらの近似関数を用い,断面減少率から切断率を算出した.試験片角部に位置する結晶粒は,2方向から切断されるので,2方向の切断率をそれぞれS1S2として,角部の切断率Scornerを以下の式で定義した.

  
\begin{equation} S_{\textit{corner}} = 1 - \{(1 - S_{1})(1 - S_{2})\} \end{equation} (1)

7本の試験片の標点間に見られた全214個の結晶粒に対して切断率を算出した結果をFig. S1に示す.

Fig. 1

Relationships between grain cutoff ratio and the reduction rate of grain cross-sectional area. The black dots are data acquired from grains located inside of the specimen. The red line is a fitting curve for the black dots.

1面の表面粒界に対し,表面に現れる粒界三重線は2つ存在する.そこで,カテゴリーTJの各設計変数では,2つの粒界三重線のうち,当該設計変数が大きな方をその結晶粒界の値として採用した.カテゴリーTJでは,3つの結晶粒の体積,アスペクト比,平均曲率,球状偏差,立方偏差,局所テイラー因子,シュミット因子,相対方位差,切断率のそれぞれ最大値,平均値,およびそれらの比を採用した.

カテゴリーSG,GP,TJに対し,それぞれ5種,16種,45種の合計66種の設計変数で表面結晶粒界性状を表現した.

(2)目的関数の詳細

全ての表面結晶粒界に対し,引張試験のその場観察中に亀裂発生が観察された負荷歪みを各表面結晶粒界の水素脆化発生しやすさの指標とした.亀裂発生の有無は,各試料の最大荷重までに亀裂が発生しなかったものを1,発生したものを0とした.また,亀裂が発生した結晶粒界に対しては,亀裂発生時の負荷段階の公称歪を用い,負荷歪20%を1,0%を0として0-1の値を割り当てた.なお,実際に亀裂が観察された最大の負荷歪みは8.6%である.

3. 水素脆化挙動の4D観察結果

Fig. 2(a)には,7本の試験片のうち,試験片No.1の負荷前の3D多結晶粒像を示す.試験片標点間部には,34個の結晶粒が観察された.7本の試験片では,合計234個の結晶粒が標点間に見られた.このうち,表面に現れた結晶粒は208個であった.また,表面に現れた結晶粒界は535面,粒界三重線は324本であった.結晶粒間に計測の誤差に起因する隙間や重なりは見られず,結晶粒界とX線CTで計測したき裂もずれなく一致していることから,多結晶組織は精密に可視化されているものと判断する.

Fig. 2

(a) 3D grain and orientation images for specimen No. 1 that were obtained using DCT. (b) Superimposition of the 3D grain image and a 3D crack image. Cracks are highlighted in yellow.

次に,この試験片の引張試験時に得られた荷重-変位曲線をFig. 3に示す.Fig. 3で6回,各10 Nほど見られる応力低下は,X線CT観察の際に変位を保持する際に生じた応力緩和によるものである.また,Fig. 4は,7本の試験片で最大荷重近傍までに発生した合計41本の亀裂を発生段階で色分けして示した.最大荷重とその1つ前の段階に発生した亀裂がいずれも4割程度と多く,最大荷重の1段階後,および最大荷重の2段階前に発生した亀裂は,いずれも1割程度存在した.

Fig. 3

Load-displacement curve recorded during the in situ tensile testing of specimen No. 1.

Fig. 4

Intergranular cracks that were observed in the vicinity of the maximum tensile strength in the seven specimens. Cracks were color-coded according to the loading stages at which crack initiation is observed.

2.2.1項で記述した方法で無負荷時の亀裂像を推定し,同じく無負荷時の多結晶像と重ね合わせたのがFig. 2(b)である.また,Fig. 5は,7本の試験片の破断後の破面をSEM観察した像(白黒)とX線CTで最大荷重点付近までに観察された亀裂の3D像(黄色)を重ね合わせたものである.最大荷重点までに,破面の4-7割は既に破壊されている.つまり,本研究の材料試験は,最大荷重点で損傷が発生する一般的な引張試験ではなく,Rカーブ挙動を伴うき裂発生とき裂伝播抵抗の評価になっている.なお,最大荷重点付近では,41本の亀裂の多くは充分に成長し,隣接亀裂と合体している.破面上には,延性破壊,および粒内の擬へき開破壊の痕跡が見られるものの,41本の亀裂は,全て表面の結晶粒界から粒界亀裂として発生していた.2.2.2(2)項で目的関数として定義した無次元化亀裂発生歪みを粒界破壊を呈した結晶粒界のみでまとめたのがFig. 6(a),破壊しなかった結晶粒界もまとめて示したのがFig. 6(b)である.

Fig. 5

Superposition of the SEM fractographs (black and white) and the 3D crack images, highlighted in yellow, that are obtained near maximum loads.

Fig. 6

Normalized crack initiation strain for (a) grain boundaries that exhibited intergranular fracture and (b) all the grain boundaries.

4. 亀裂発生のメタモデル解析結果

Fig. 7に主成分分析結果で主成分ベクトルと散布図をプロットしたバイプロットを示す.図中,青,緑,赤色の線は,それぞれ設計変数SG,GP,TJを表す.本研究では,各設計変数の主成分ベクトル間の角度が5°以下の場合,寄与率がより小さな設計変数を消去した.図中の黒色の破線は,このようにして削除された設計変数を示す.初期の設計変数は66個であるが,主成分分析適用後には,25個となった.残留した設計変数の数は,SG,GP,TJについてそれぞれ3個,5個,17個であり,SGが最も高い割合(60%)で残存し,逆にGPはその約半分であった.

Fig. 7

Principal component score distribution for all the design parameters.

第1段階の粗視化を通過した25個の設計変数に対してグローバル感度分析を適用し,Pearson相関係数の順に並べたのがFig. 8である.Fig. 8(a)ではSG,GP,TJという粒界の取り扱い方のカテゴリー別に色分けし,Fig. 8(b)では結晶方位,サイズ,形状,切断率という粒界の性質カテゴリー別に色分けした.同様の手法で,アルミニウム中に分散する粒子個々の性状とその損傷の相関を調べた既報の研究21では,Pearson相関係数の上位3個の平均は0.27-0.56,同じくアルミニウム中で40 µm角の領域の分散粒子の性状・配列を解析した研究22では,上位3個の平均は0.62-0.72であった.Fig. 8では,Pearson相関係数の上位3個の平均は0.15であり,既報と比べ,相対的に低い値を示した.これは,後ほど考察する.

Fig. 8

The results of the global sensitivity analysis for the selected 25 design parameters. The bars are color-coded according to (a) the categories of design parameters SG, GP and TJ, and (b) classification such as crystallographic orientation, size, shape and cutoff rate.

Fig. 8(a)では,Pearson相関係数の値は,カテゴリーSGが高く,次いでTJが高くなっている.上位3個の設計変数は,単一粒界の粒界配向角(SG_D),同じく粒界面積(SG_A),および表面粒界三重線を構成する3つの結晶粒の体積の最大値をその平均で除したもの(TJ_Vmax/ave)である.特徴的なことに,Fig. 8(b)では,結晶方位に関する設計変数は非常に小さな値を示した.また,切断率の重要性も低く,結晶粒界や結晶粒のサイズや形状に関わるものが生き残った.つまり,多結晶組織の結晶学的なミスマッチや試料作製段階の表面結晶粒の損耗ではなく,単純に結晶粒や結晶粒界の幾何学的な因子が粒界破壊を規定していると言える.

SG_DSG_ATJ_Vmax/aveを用いてメタモデルを作成し,視覚的な評価のためにSG_DSG_Aのみを用いて目的関数に対する応答曲面を描いたのがFig. 9(a)である.同じくSG_DTJ_Vmax/aveを用いて応答曲面を描いたのがFig. 9(b)である.前者と後者では,それぞれSG_ATJ_Vmax/aveの値を平均値で一定として応答曲面を描いた.Fig. 9では,2つの設計変数と目的関数による3D応答曲面,および目的関数をコンター表示した2D表現を表示している.水素脆化に対する最弱粒界は,粒界面積が小さく(5.6 × 103 µm2:全結晶粒の平均では1.8 × 104 µm2),粒界が負荷軸に対して垂直に配向した粒界(88.4°:全結晶粒の平均では48.0°)で,かつ粒界三重線を囲む3つの結晶粒の体積が比較的近い(TJ_Vmax/aveの正規化前の値で1.41:全結晶粒の平均では2.09)という結果となった.逆に,水素脆化に対して最強の粒界は,粒界面積が大きく(5.1 × 104 µm2),粒界が負荷軸に対して平行に近く(16.2°),かつ粒界三重線を囲む3つの結晶粒の体積差が大きい(TJ_Vmax/aveの正規化前の値で2.86)ことが明らかになった.

Fig. 9

3D response surfaces among the two design parameters ((a) SG_D and SG_A and (b) G_D and TJ_Vmax/ave) and the objective function together with projected 2D contour representation of the objective function.

Fig. 9(a)およびFig. 9(b)の2Dコンター図では,黒点は破壊しなかった粒界,白点は破壊した粒界を,また2つの黄色点は,最弱および最強粒界の予測位置を示している.最弱粒界近傍にも破壊しなかった結晶粒界は多数存在し,逆に最強粒界に比較的近い図面中央付近にも破壊粒界は存在する.ここで,最弱粒界の定義は予測される破壊確率が最も高い粒界であり,最強粒界はその逆である.そこで,Fig. 9(a)およびFig. 9(b)の2Dコンター図に黄色点線のように最弱点,最適点を囲む領域を設定し,その内部での結晶粒界の破壊確率を算出した.結果として,最弱点近傍の破壊確率はFig. 9(a)とFig. 9(b)でそれぞれ31.0%と50.0%と高く,最適点近傍ではいずれも0%となり,明瞭な差が認められた.

参考までに,7本の試験片で実際に観察された234個の結晶粒のうち,Fig. 9(a)の最弱粒界,最強粒界に最も近いSG_D値,SG_A値をもつ結晶粒界を抽出したものがFig. 10(a),Fig. 9(b)の最弱粒界,最強粒界に最も近いSG_D値,TJ_Vmax/ave値をもつ結晶粒界を抽出したものがFig. 10(b)である.同様の材料に対して3Dイメージベース結晶塑性有限要素法を行った比嘉等の結果を参考にすると,粒界配向角と粒界面積により粒界面に垂直な応力が大きく変化し,最強粒界はこれが小さな粒界と言える7.また,粒界三重線を囲む3つの結晶粒で粗大な結晶粒がある場合,粗大な結晶粒に追随して周囲の小さな結晶粒が変形してミスマッチは限定的になる.逆に,粒界三重線を囲む3つの結晶粒のサイズが同程度である場合,相互の変形拘束効果により結晶粒間の変形のミスマッチが大きくなり,粒界応力が高くなるものと推察される.

Fig. 10

3D images of grains constituting grain boundaries that are close to the weakest and strongest grain boundaries in Fig. 9.

5. 考察

5.1 ミクロ組織-破壊挙動の相関性

山口等は,Σ5(012),Σ9(221),Σ3(112)粒界で界面の水素濃度を増やしながら第一原理計算を行い,多くの水素原子が粒界に集まると粒界が膨張してさらに水素をトラップしやすくなり安定化するという特異な挙動を報告している14.粒界の水素濃度が増加すると,粒界凝集エネルギーがゼロ付近まで低下する半自発的剥離を呈することは前述の通りである14.一方,Su等によるイメージベース解析の結果では,Al-Zn-Mg合金中では主に析出物やミクロポアに水素が分配され,結晶粒界がトラップする水素量は析出物やミクロポアの水素量の10−4-10−5に過ぎない28.これは,無負荷の場合でも亀裂先端で大きな負荷がかかる場合でも同様である.したがって,半自発的剥離の機構で粒界破壊が生じる場合,水素の効果は補助的なものに過ぎず,粒界にかかる応力の上昇が水素脆化には不可欠と言える.

比嘉等は,供試材と同様な組成を持つAl-Zn-Mg合金(平均結晶粒径は,160 µmとやや小さい)について,3Dイメージベースで結晶塑性有限要素法と水素拡散解析を連成させたマルチモーダルシミュレーションを実行し,水素脆化による粒界亀裂発生と応力・歪みの局在化や水素濃化との関係を検討している7.これによると,特定の粒界において相当塑性歪みで平均の8.3倍,静水圧応力で3.7倍,粒界面に垂直な応力で2.3倍の上昇が認められ,特に特定の亀裂発生粒界でこの傾向が顕著であった.引張の静水圧応力の上昇に対応し,特定の粒界の表面付近では水素の濃化が予測されている.彼等は,粒界面に垂直な応力が大きいほど粒界亀裂が発生し易く,静水圧応力上昇による水素濃化の効果よりも粒界面に垂直な応力の方が支配的であると結論している7.これは,支配的な設計変数としてSG_DSG_ATJ_Vmax/aveが粒界破壊と高い相関を示し,Fig. 9Fig. 10のような最適・最弱組織が予測された本研究の結果と整合するものと言える.

ところで,選定された3つの設計変数SG_DSG_ATJ_Vmax/aveのPearson相関係数の値は,それぞれ0.23,0.12,0.09であった.Evansによれば,Pearson相関係数の値が0.8-1.0,0.60-0.79,0.40-0.59,0.20-0.39,0-0.19の場合,相関性は,それぞれ非常に強い,強い,中程度,弱い,非常に弱いと判定される29.したがって,SG_Dは粒界破壊と弱い相関,SG_ATJ_Vmax/aveは非常に弱い相関性があると判定される.一方,アルミニウム中の個々の分散粒子の損傷し易さと分散粒子性状との関係を同様の手法で解析した既報のPearson相関係数は0.27-0.5621であり,弱い-中程度の相関が,そして40 µm角の領域で分散粒子の性状・配列を見た研究22では,Pearson相関係数は0.62-0.72で強い相関と判定された.本研究で相関性が弱いと判定された理由としては,多数の設計変数が組み合わされることでマクロ現象が記述されるため単一設計変数のPearson相関係数が低くなったのか,それともここでは考慮されていない設計変数の寄与が考えられる.

後者に関しては,Su等によるイメージベース解析により結晶粒界そのものに分配される水素量はごく少なく28,半自発的剥離で粒界破壊が生じるような高水素濃度には到底到達し得ないと結論されている.そこで,異なる粒界破壊機構が支配的である可能性がある.結晶粒界は,合金元素の偏析やPFZの形成,粒界析出物の存在など,物理計算で想定される純粋な粒界とは異なる複雑な様相を呈する30.そこで,結晶粒内の擬へき開破壊が粒内析出物の半自発的剥離に起因すると報告されている5のと同様に,結晶粒界の破壊も粒界析出物がトリガーとなり発生するという仮説も成り立つ.結晶粒界の水素結合エネルギーは最大で0.25 eV程度と低いのに対し14η-MgZn2/アルミニウム母相の整合界面では最大で0.35 eV31,半整合界面/アルミニウム母相では同じく0.55 eV32と高い.つまり,粒界そのものよりも粒界析出物の方がはるかに強く水素を引き付ける.粒界析出物支配の粒界破壊の場合,粒界析出物のサイズ,形状,密度(カバレッジ),結晶粒界上の空間分布,整合性などが重要な設計変数になると思われる.これらは,時効状態や合金種によっては結像光学CTによって3D可視化可能であり,本研究と同様な取り扱いが可能になる.

ところで,本研究では試験片に水素を充分にチャージした後,アルゴンフロー環境で試験を行い,外部水素の影響を排することを企図した.しかし,雰囲気を完全に置換したわけではなく,若干の水蒸気分圧が残っていると考えるのは妥当である.試験片の変形に伴い,酸化物セラミックスであるアルミニウム表面酸化皮膜が破壊され,金属アルミニウムが水蒸気に曝されて酸化反応が生じることで過剰な水素原子が生成される.生成した水素原子は,高いフガシティー(逃散能)によってアルミニウム中に吸収され33,水素脆化に寄与すると考えられる.酸化皮膜の破壊は,結晶粒界の存在や結晶粒間の変形ミスマッチに依存すると考えられるが,これを設計変数で考慮するのは困難と言える.また,外部から侵入した水素量を計測,評価することも困難である.したがって,真空引き,ガス置換などにより完全な雰囲気制御を行えば,粒界破壊が内部水素のみに支配され,設計変数との相関性も高まるものと期待される.

5.2 粒界破壊制御への応用の可能性

この論文で採用したアプローチは,最も弱い結晶粒界や最も強い結晶粒界の特徴を明示し,その中間のものに対しても破壊確率という形で粒界破壊のし易さを与える.それは,大量のデータから,たとえ相関性が低くても,支配的なミクロ組織の因子が抽出できることによる.これは,複雑な現象の発見やその合理的な解釈を可能にする.つまり,従来の直感的,主観的な現象の理解から,データに裏付けられた論理的な解釈へと移行することが可能になる.一般的に,3D/4D画像の解釈や3D画像ベースの数値シミュレーションの活用には,材料科学の深い理解や先端的なスキルをもち,information-richなデータの解釈ができる人材が必要となる.しかしながら,本研究のアプローチによりマクロ現象の支配因子を計測・評価しながら微細構造を最適化すれば,そのような高度人材でなくとも,材料のマクロ特性を効率よく改善できる.一般に,データの欠陥,重複,不一致などが誤った結論を導くことはよく知られている.したがって,信頼性のある結果を得るためには,データクレンジングによりそれらの問題点が予め修正されなければならない.しかし,本論文で用いた統計的方法論では,適切な目的関数が設定され,充分な数の設計変数が用意される限り,誰が実行しても,データクレンジングなしで同一の結論に到達できる.これは,過剰な数の設計変数の準備とその後の粗視化過程が内生的にデータクレンジングの機能をもつためである.メタモデルによる相関性の視覚化による評価も,用いるメタモデルによる最適化の妥当性と有効性の検証を可能にする.

より具体的に述べると,本研究で得られた知見に基づき,選定された3つの設計変数であるSG_DSG_ATJ_Vmax/aveやそれに準ずるPearson相関係数をもつ設計変数を計測し,部材として用いる場合の負荷方向を考慮することで,粒界破壊を伴う水素脆化感受性の制御が可能になる.この場合,最弱組織のSG_DSG_ATJ_Vmax/ave値に近い結晶粒界を極力排除したり,最適組織のSG_DSG_ATJ_Vmax/ave値に近い結晶粒界を極力増やすことが考えられる.水素脆化現象が限られた結晶粒界からの亀裂の発生と伝播によることを考えると,前者がより有効なアプローチとなる.このような場合,想定される部材サイズと結晶粒界のサイズの違いから,部材からサンプリングしたミリメートルオーダーの微小試料を用いざるを得ない.無論,シンクロトロン光の利用は,産業的な材料の開発や評価では,現実的ではない場合も多い.しかし最近では,本研究で用いたシンクロトロン光下の実験技法が,若干の精度低下と長い計測時間というデメリットはあるものの,ラボ装置でも実施可能となっている24,34.トライアンドエラーでは到達できない最適組織をもつ材料が創製できることを考えると,本研究のような3D計測法の適用とイメージベース解析の援用は,現実的な手法と言える.

既報では,単一の試験片に埋め込まれた特定の微細構造の特徴を利用したり,それを複製・改変したりして多くのシミュレーションモデルを準備し,3D画像ベースの数値シミュレーションを多数回繰り返した結果を本研究と同じような統計解析に供した21,22.現実的な材料で各種設計変数がカバーする設計空間を充分に意識すれば,このアプローチは,材料を多数回,実験的に評価するのと等価であると言える.その場合,水素濃度と亀裂発生の対応が確認されていれば,比嘉等が行った結晶塑性有限要素法解析と水素拡散解析の結果として得られる局所水素濃度の予測値など7も目的関数とすることができる.このような3Dイメージベースのマルチモーダルシミュレーションは,計算コストは高いものの,加工熱処理による現実の多結晶組織変化などを取り入れた,より効果の高い多結晶組織最適化をもたらす可能性がある.

6. まとめ

代理モデルを中心とするミクロ組織最適化手法を適用し,水素脆化感受性の高いAl-Zn-Mg合金の多結晶組織と水素脆化亀裂の発生挙動との相関性を検討した.サポートベクター マシンをインフィルサンプリング基準と組み合わせ,粒界数で数百という,比較的データサイズの小さなデータセットに適した統計解析を実施した.方法論としては,多数の設計変数を用いた徹底的な多結晶組織の定量化,2つの粗視化プロセス,メタモデリングを統合したものである.本研究では,表面結晶粒界,表面結晶粒界を構成する一対の表面結晶粒,表面粒界三重線を構成する3つの結晶粒のサイズ,形状,方位および試験片作製過程の表面結晶粒の切断などを考慮し,3D多結晶組織を最適化することを目的とした.準備した合計66個の設計変数は,データの独立性を考慮して25個に,そしてさらに水素脆化亀裂発生との相関性を考慮して最終的には3つにまで粗視化された.これらと目的関数を合わせて4次元のメタモデルを構築し,これを3Dないし2Dの応答曲面として可視化した.

用いた設計変数は,表面結晶粒界および表面結晶粒のサイズ,形状,方位,試料準備過程での切断を記述するものである.このうち,単一粒界面の性状を表す設計変数が多く残留し,逆に粒界面を構成する2つの結晶粒の性状に関するものは除去される傾向にあり,表面粒界三重線を構成する結晶粒の性状はその中間であった.水素脆化亀裂の発生との相関でも同様の傾向が見られた.選定された3つの設計変数は,単一粒界の粒界配向角(SG_D),同じく粒界面積(SG_A),および表面に現れる粒界三重線を構成する結晶粒の体積の最大値をその平均で除したもの(TJ_Vmax/ave)である.過去の同種の研究と比較しても,それらの設計変数のPearson相関係数の値は,低めになった.これは,結晶粒内の擬へき開破壊が粒内析出物の半自発的剥離に起因するのと同様に,結晶粒界の破壊も粒界析出物がトリガーとなり発生するため,粒界析出物のサイズ,形状,密度,結晶粒界上の空間分布,整合性などを考慮すべきということを示唆する.また,外部水素の影響を完全に排除できていないことも低い相関係数の一因と推察された.

結果として,水素脆化に対する最弱粒界は,粒界面積が小さく,粒界が負荷軸に対して垂直に配向した粒界で,かつ粒界三重線を囲む3つの結晶粒の体積が比較的近いものであった.これは,別に行われた3Dイメージベース・マルチモーダルシミュレーションの結果とよく整合するものであった.このシミュレーション結果を援用すると,粒界が負荷軸に対し90°近くに配向し,粒界面積が小さくまた粒界三重線を囲む3つの結晶粒のサイズが同程度であるために結晶粒相互の変形拘束効果が生じ,粒界応力が高くなるものと理解できる.さらに,実際の材料の3D画像から,水素脆化に対して最適および最弱の結晶組織を抽出して例示した.最弱組織のSG_DSG_ATJ_Vmax/ave値に近い結晶粒界を極力排除することが水素脆化に強い材料設計の有効なアプローチと言える.

この論文で採用された統計的アプローチは,複雑な3D画像のデータから水素脆化を支配する要因を抽出するとともに,最弱の多結晶組織の特徴を提示した.これは,複雑な多結晶組織が示す水素脆化挙動の合理的な解釈をもたらし,多結晶組織の最適化を通じた水素脆化の予防に繋がる.今後は,3D画像ベースの変形・水素拡散マルチモーダルシミュレーションの援用により,より効果の高い多結晶組織最適化も可能である.

本研究は,JST戦略的創造研究推進事業(CREST)「革新的力学機能材料の創出に向けたナノスケール動的挙動と力学特性機構の解明」による.また,放射光実験は,SPring-8の課題(2019B2046, 2020A1084, 2020A1796, 2021A1002, 2021B1123, 2022A1005)である.また,(公財)軽金属奨学会からの助成金も一部受けている.これらを記して深く感謝する.

文献
Appendix

Fig. S1

Histograms of grain cutoff ratio (a) before and (b) after correction

Table S1 A list of the parameters for surface grain boundary (SG), two surface grains that form a surface grain boundary (GP), and three surface grains that form a surface grain boundary triple junction (TJ) that were used for the statistical analyses.


 
© 2024 The Japan Institute of Metals and Materials
feedback
Top