地域生活学研究
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戦後の富山県における発電施設の立地展開過程と地域的傾向
龍瀧 治宏
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ジャーナル オープンアクセス

2021 年 12 巻 p. 26-51

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抄録
本研究の目的は,富山県の発電施設に着目して,第二次世界大戦以後の発電施設の立地展開過程の特徴とその原因や背景を明らかにし,そこから見出される地域的傾向について解明することである。1951年から 2019年にかけて,富山県における発電施設を出力規模や企業別,発電種類別に地図に示し,発電施設の立地分布の変化から考察する。戦後の電気事業再編成により北陸電力の供給地域に関西電力の大規模発電所が帰属したり,県営の発電所も復帰したりして富山県の発電施設は特徴的な立地展開過程を示している。また 2000年代には,小水力発電,太陽光発電,風力発電など新エネルギーごとの立地展開が見られる。これらの発電施設の立地展開の背景や原因の分析を通じて富山県は北陸電力の本社所在地であり供給地域であるにもかかわらず,関西電力の大規模な水力発電所が併存したことで,関西電力に富山県の水力資源を活用する主権を奪われていることや公害による負の遺産であった広大な遊休地が,太陽光発電所の設置により再び利用されて生かされていることなどを含め4つの地域的傾向を明らかにした。
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