地域生活学研究
Online ISSN : 2432-1133
Print ISSN : 2186-9022
ISSN-L : 2186-9022
地域の在野知を活かした白子神社の樹木マップづくり
中野 英之
著者情報
ジャーナル オープンアクセス

2024 年 15 巻 p. 27-36

詳細
抄録
鎮守の森は、生物多様性や防災の側面だけでなく、教育的な観点からも貴重な存在であり、その適切な管理が求められている。鎮守の森の植生を明らかにし、解説札を設置することはその一つの方法である。著者は、千葉県長生郡白子町の白子神社において、境内の樹木群の解説札を整備した。その後、地域の植物分野の在野研究者から、解説札の記載についての誤りの指摘がなされ、在野研究者の助言をもとに解説札の再整備を行うとともに、在野研究者に対する半構造化インタビューを行い、誤りを指摘した動機や在野研究者の学びの姿を明らかにした。更に、地域の児童や参拝者に資することを目的に、在野研究者の知見を活かした白子神社の樹木マップを作成し、その普及を開始した。これまでの神社の問題点は、一般社会からの発言に対して消極的な点であった。本報告で示した事例は、地域の在野研究者の知見を積極的に取り入れた社頭活動を展開したという点で希少なもので、これからの神社と地域の関わりの在り方を考える上で多くの示唆を得ることができた。
著者関連情報
前の記事
feedback
Top