日本救急医学会雑誌
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症例報告
頸部仮性動脈瘤破裂により気道閉塞を来したvon Recklinghausen病の1症例
竹田 啓土井 智章加藤 久晶長屋 聡一郎白井 邦博豊田 泉小倉 真治
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2010 年 21 巻 2 号 p. 84-90

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抄録
von Recklinghausen病(神経線維腫症type 1)の合併症としては脳神経腫瘍や骨格異常,血管奇形など様々なものがある。我々は頸部多発仮性動脈瘤破裂により気道閉塞を合併したvon Recklinghausen病の1症例を経験したので報告する。症例は48歳の男性。呼吸困難,左頸部腫脹にて当院救急外来を受診した。来院時は会話可能であったが,数十秒の経過にて呼吸停止を来し,気管挿管を試みたが口腔内は占拠性病変が充満しており,外科的気道確保を施行した。頸部CTにより,気道閉塞の原因は仮性動脈瘤破裂による血腫の圧迫と診断した。入院後,外頸動脈からの出血が持続したため,transcatheter arterial embolization(TAE)を施行し救命した。頸部仮性動脈瘤破裂に伴う血腫により,急激な気道閉塞を来し致命的になることもあるため,von Recklinghausen病を有し,頸部腫脹を認める症例に対しては,外科的気道確保などの早期気道確保ならびにTAEを考慮する必要がある。
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© 2010 日本救急医学会
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