抄録
心筋血流シンチグラフィーと心筋脂肪酸代謝シンチグラフィーにて,血流-代謝乖離が診断された重症不整脈を伴う鈍的心外傷の1例を経験したので報告する。症例は,生来健康な37歳,男性。重量物が胸部を直撃したため救急搬送された。救急室入室後20分で心室細動を起こし心停止に至った。その後30分ほど,心室細動(ventricular fibrillation),無脈性心室頻拍(pulseless ventricular tachycardia),torsade de pointesなどの重症不整脈と一時的な自己心拍再開を繰り返した。心肺蘇生に成功し集中治療室に入院となった。入院経過は良好であった。第7病日に心臓血流および代謝シンチグラフィーが行われ,タリウム画像では心尖部に集積低下を認めた。脂肪酸代謝画像では心室中隔,心尖部,ならびに左室下壁に集積低下領域を認めた。心尖部の低下領域はタリウム画像で認められたものより広範囲であり血流-代謝乖離があると診断された。第48病日に施行された心臓血流および代謝シンチグラフィーでは,脂肪酸代謝画像にて集積低下の明らかな改善が認められた。シンチグラムの所見から,本症例は心臓への鈍的外力により血流-代謝乖離が生じ,それが焦点となって重症不整脈が生じたものと考えられた。