日本救急医学会雑誌
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Lipopolysaccharideのモルモット腸管収縮抑制作用
二宮 宣文根本 香代岡村 忠夫山本 保博
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2000 年 11 巻 11 号 p. 651-659

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抄録
lipopolysaccharide (LPS)は敗血症時に認められる腸管イレウスの原因物質と考えられている。LPSによる腸管運動の低下はnitric oxide (NO)やcytokinesを介した反応とされているが,LPSが腸管平滑筋自体に直接どのように影響を及ぼすかは明確ではない。本研究ではLPS腹腔内注射後のモルモット腸管を用いて,LPSの腸管平滑筋抑制機序について検討した。摘出結腸縦走筋標本および結腸輪走筋標本をorgan bath内にセットし,等尺性の張力を測定した。LPS投与群のモルモット腸管平滑筋収縮においては,非投与群に比べ,結腸縦走筋と輪走筋のhistamine収縮,acetylcholine収縮およびKCl収縮は共に抑制されていた。KCl収縮に対するLPSの抑制作用は,特異的なK+チャネル阻害剤であるcharybdotoxin前処置によって阻害された。以上のことから,LPSによる腸管運動抑制機序には,平滑筋細胞膜上の電位依存性Ca2+チャネルの阻害作用や,Ca2+依存性K+チャネル開口作用が関与している可能性が示唆された。
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