日本救急医学会雑誌
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院外心肺機能停止例における救急現場心電図と病院到着時心電図の検討
栗林 彰水落 忠夫林 正和岡部 正明佐藤 政仁江部 克也佐伯 牧彦高橋 正和土田 桂蔵小玉 誠
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2001 年 12 巻 6 号 p. 282-291

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抄録

新潟県長岡市における院外心肺停止例の救急現場における心電図と病院収容時の心電図を検討した。平成5年から平成11年までの7年間に871例の院外心肺停止が発生し,このうち797例(91.5%)の救急現場における心電図を記録することができた。救急現場における心電図所見は内因性疾患599例中,心室細動57例(9.5%),電導収縮解離124例(20.7%),心静止・判別不能418例(69.8%)であった。また,外因性疾患198例中では心室細動が3例(1.5%),電導収縮解離45例(22.7%),心静止・判別不能150例(75.8%)であった。心肺停止の発生直後であっても心室細動の頻度が低く電導収縮解離と心静止の頻度が高かった。バイスタンダーによる心肺蘇生処置は内因性疾患例の16.4%,外因性疾患例の22.2%において実施されていた。社会復帰例は797例中6例(0.8%)に過ぎなかった。院外心肺停止の救命率を向上させるためには第一に市民による心肺蘇生法を普及させることが重要である。さらに,電導収縮解離と心静止が多いというわが国の院外心肺停止の実情に合わせて,救急救命士が薬物注射を含めた積極的心肺蘇生を実施できるような体制を整えてゆく必要がある。

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