日本救急医学会雑誌
Online ISSN : 1883-3772
Print ISSN : 0915-924X
ISSN-L : 0915-924X
中等度低体温下における単球の遊走・貪食並びに殺菌能の検討
木村 昭夫留目 優子大国 寿士桜田 紳策渡辺 ユキノ倉田 潔木村 壮介
著者情報
ジャーナル フリー

1998 年 9 巻 8 号 p. 332-335

詳細
抄録

近年,重症脳傷害に対する中等度低体温(32℃~34℃)の脳保護効果が注目されているが,この療法の際に,しばしば細菌感染症が惹起される。本論文では,この低体温下における単球の機能についてin vitroにて検討した。健常成人より得た末梢血から単核白血球を分離し,そのなかの単球の遊走能,貪食能および殺菌能を33℃並びに37℃で比較検討した。単球の遊走距離は,3時間において37℃では平均1.1mmであったのに対し,33℃では平均0.1mmであった。37℃では単球1個当たり貪食した酵母(Saccharomyces cerevisiae)数が2.3±2.1個であるのに対し,33℃では1.9±1.8個であった(p=0.017)。また貪食された後,発育してきたコロニー数は,37℃で(1.8±0.11)×106個,33℃では(2.4±0.17)×106個であった(p<0.0001)。遊走能,貪食能,殺菌能ともに33℃で低下しており,これらが低体温療法の際の易感染性に関与していることが示唆された。

著者関連情報
© 日本救急医学会
前の記事 次の記事
feedback
Top